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第33話

親子の情というのは不思議なものだ。

蓮の涙を見つめながら、

私もまた、自然と泣いていた。

蓮が一歩前に出て、そっと私の膝に寄りかかった。

彼は手を伸ばし、私の視線の下で、そっと私のマスクを外した。

彼は私の顔にある醜い傷跡を見つめ、

指先でそっとそれに触れた。

「ママ」彼は顔を上げて呼んだ。

私の涙は止まらなかった。

うつむいて、彼の細い背中を抱きしめた。

父親の手で育てられた、冷静で落ち着いた蓮は、

私の腕の中で、号泣の声を上げた。


その間、神谷慎一は終始、私の横に座り、私のそばにいてくれた。

静かに、そして真剣に私を見つめながら。

私の押さえきれない嗚咽を聞きつけると、

彼はようやく手を伸ばして蓮を引き離した。

「ママは休まなくちゃ」と言った。


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