夜、私は寝室のベッドの端に座り、蓮の過去の写真をめくっていた。
神谷慎一は彼をとてもよく育てていた。
生まれてから今の十歳まで、毎年記録された写真があった。
神谷慎一がバスルームから出てきた。
さっさと布団をめくって私の隣に座った。
私は足を引っ込めた。
彼はもう私の腰に手を回し、
私を彼の胸の中に抱き寄せた。
「お前がお前だと確信したのは、いつだと思う?」
私は彼の方を向いた。
「先月の23日、夜中の12時、お前が書店の外で犬に餌をやっていた時だ」
神谷慎一は言った。
「車が通り過ぎる時、お前の横顔をちらっと見ただけだった」
「十年も感情が揺さぶられなかったのに、その瞬間、胸の奥で心臓が暴れて、破れそうなほどだった」
神谷慎一は私の手をもみながら言った。
「でも、システムはあの頃も不安定だった。この十年、俺がシステムを苦しめた分、奴も隙あらば俺に罠を仕掛けてきた」
「夢か幻か、それが怖かった」
「だからお前だと気づいても、近づけなかった。近づいたら、お前が消えてしまう気がして」
神谷慎一の腕は長く力強く、私の腰をぐるりと囲んだ。
私は受動的に彼の肩にもたれかかり、横顔を見た。
小声で言った。
「それじゃあ、あの夜、会社の非常階段であなたがいたのは、わざとだったのね」
神谷慎一は少しも否定せず、そうだと認めた。
「お前だとわかっていた。でも、怖かったんだ」
神谷慎一のような男が、怖いと率直に口にする。
「この十年、数えきれないほど長い夜、俺はたくさんの夢を見た。夢の中のお前は本物だった。でも目が覚めると、何もかも消えていた」
「これもまた、甘い夢なんじゃないかと怖かった」
「だから俺はお前を観察し、尾行し、お前に何度も俺の目の前に現れさせた」
「そうしてやっと、手を伸ばしてお前を掴む勇気が出た」