「そういうことだよ……薙。だから、さっき、一応確かめてみたんだ……薙の名前をね」
「あ、そうかー!! そうだったんだ……ってさ、さっきの話って、どういうこと?」
輝はあの小学校の時の友人だったことを知った薙は緊張もほぐれたのか、いつもの薙へと戻ったようだ。しかも友人だったのだからタメ口に戻れたのかもしれない。
「だから、俺はずっと薙のことが好きだったって言ってるんだけど? 薙はどうだったの? 確かに小学校六年の時に俺達シちゃった訳でしょ?」
それを思い出されてしまったのか薙は真っ赤な顔をする。
「あ……え? だから……それは……えーと……うん……僕も修斗のことは好きだったよ……だから、僕もその……そういうことに付き合ってた訳で……」
「じゃあ、その時は俺のこと本気だった訳?」
「え……まぁ……うん……」
「良かった……。薙は俺の事が好きだったみたいでさ。俺は今でも薙のこと忘れてなかった……だから、今でも俺は薙のことが好きなんだけど……」
「え? あ、そうだったの!?」
と修斗のその言葉に顔を上げる薙。
「ほら、小学校卒業した後、俺は私立の中学校に行っただろ? その後も高校も名門校に行ったし、今は大学の方も有名校の医学部って訳だ。だから、毎日、勉強漬けで遊ぶ暇さえなかったけど、今は大学にも入れたから、少し余裕は出来たのかな? だから、ホストなんてこともしちゃってるんだけどさ……。とりあえず、さっき薙に教えた名前はホストの源氏名。しかも、いつも、お前が働いているコンビニに行ってたのに俺のこと気付いてなかったんだもんなぁ。だから、ホストの名前をちょっと使ったんだよな」
そうイタズラっぽく言うところは昔と変わってないようだ。
「んで、ちょっと、面白かったから、脅かした訳さ。まぁ、俺は何となく薙かな? って気付いてはいたんだけどな。しかし、奇跡だよなぁ、運命っていうのかな? 俺達、東京じゃない所に住んでいたのに、東京でも再会出来るなんてさ。な、薙……もう一度言うよ…。俺は君のことが昔から好きだった……だから、もう一度、再会出来た訳だし、付き合ってたくれないかな?」
薙は涙目で修斗のことを見つめると、
「修斗ー!」
と語尾にハートマークが付きそうな位な声で言い、薙は修斗のことを抱き締める。
「うん……僕もずっと修斗のことが好きだったんだよ。だから、その……女性と付き合うことも出来なかった。修斗のことが忘れられなくて……忘れられなくて……本当に今まで付き合うってこと考えてなかったけど……修斗となら構わないよ。確かにあの頃は好きって感情でシていた訳じゃなかったけど……あ、いや、僕には好きって感情はあったんだけどね。それよりか、その……そういうことの方が気持ち良かった……っていうのか……修斗と離れてからも自分一人でやってみたんだけど、何か足らなくて……やっぱ、相手がいないと気持ちよくなれなかったんだって気付いたんだよね」
「そうだったんだね。何だか、やっと、気持ちが一つになれて嬉しいよ。あの頃はただヤりたいだけだったのかもしれないけど……今は違うよ。薙のことが好きで薙のことを抱きたいって思ってるんだけど……いい?」
その修斗の言葉に薙は頭を頷かせる。