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あれからの僕達〈語り・博孝〉

親友からやり直したあの日から二年の月日が経ち、

僕は今日、椿紗に告白しようと思っている。


待ち合わせ場所は何時もの所。


『博孝、お待たせしました』


この場所からまた始めたい。


椿紗の返事次第だけどね(苦笑)


『今さっき来たところだよ』


あの頃も今も早めに来るのは癖だ。


年上としての矜持プライドもあるけど

椿紗を待たせたくないっていうのが大きい。


『それで、話したいこととは?』


“今さっき来た”というのが小さな嘘だと

気付いていてスルーしてくれたんだね(笑)


『椿紗、僕と付き合ってください』


この告白は誰の代わりでもない“椿紗自身”への告白。


『私でいいんですか?』


『“椿紗で”いいんじゃなくて “椿紗じゃなきゃ”駄目なんだ』


凌央と重ねて見ていたあの頃とは違う。


僕は正真正銘“美村椿紗”を愛している。


『後悔しませんか?』


まだ、あの頃のことを引きずっているのか……


それはそうだよな。


だけど、僕は椿紗を愛している。


『しないよ。僕は美村椿紗を愛してる』


伝わっただろうか……


『私でよいのでしたらよろしくお願いします』


断られなくてよかった。


『こちらこそ、よろしくね僕の可愛い恋人さん』


『はい』


春風が吹く日曜日の早朝の小さな公園で

僕達は再び、恋人同士になった。 

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