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第13話 2人でお風呂*

 母が妊娠中、パパが食事に誘ってくれた。母はつわりがひどく外出どころか家で人に会うのすらしんどいと聞いていたので、わたしは自宅に会いに行くのも遠慮しており、たまにパパと2人だけで外で会っていた。


 有名なイタリアンレストランでパスタを食べている最中、わたしは胸のあたりにパパの視線を感じた。わたしの大きな胸はどうしても男性の注目を引いてしまうようで、わたしは小学校高学年ぐらいから胸への視線に敏感になっている。でも実の父親のパパがそんなつもりでわたしの胸を凝視するわけがない。外道な元父がわたしを襲ったのは、実の父親でなかったからだ。


「パパ、どうしたの? ソースが服に付いちゃってる?」

「い、いや、付いてないよ。そ、そう、そのネックレスがかわいいなと思って……彼氏からのプレゼント?」

「彼氏なんていないよ。かいからのプレゼントなの」

「そうなんだ。仲がいいね」

「うん、実の姉じゃなくて従姉だって分かっても、今まで通り、仲良くしてくれてホッとしてる」

「そうか、よかったね」


 ネックレスの話はそこであっさり終わった。


 外食後、パパがタクシーで家まで送ってくれた。その時には、海はもう家に戻っていた。


「今日、遅かったね」

「言ってなかったけ? パパと食事してきたの。最近、SNSでも話題になってるイタリアンでね……」


 わたしが話し終わる前に海は言葉をかぶせてきた。


「良二さんと2人きりで食事したの?」

「うん、そうだけど、それがどうしたの?」

「何か変わったことなかった?」

「うーん。特に。あ、パスタはおいしかったよ」

「そうじゃなくて、良二さんの様子」

「ああ、パパの様子ね。お母さんのつわりがひどくて心配してた」

「その他には?」

「えっと……海からもらったこのネックレスを褒められたよ」

「空からネックレスのことを話したの?」

「ううん、パパが目ざとく見つけて褒めてくれた」

「そう……分かった。他の話はお風呂で聞かせて」


 わたし達が双子じゃないと分かってから、海はなぜかまた一緒にお風呂に入るようになった。海がわたしの身体を洗ってくれると、わたしは心が乱されてしまってどうしようもなかった。だって海には香織さんという婚約者がいる。


「恋人同士でもない大人の男女が一緒にお風呂に入るのはおかしいよ」

「僕達、いとこじゃん」

「大人の異性のいとこが一緒にお風呂になんて入らないよ」

「そんなこと、誰が決めた?」

「だ、誰って普通は……」

「人がどう思おうと、どうでもいいじゃん」

「でも香織さんに悪いよ」

「香織には関係ないよ」

「でも香織さんは、海の婚約者でしょう?」

「ああ、今はね……」

「何て言ったの? よく聞こえなかった」

「何でもないよ。さあ、お風呂に入ろう」


 結局わたしは海の言いなりになってしまった。でもひとつだけは言わせてもらった。


「わかったけど、前ぐらいは隠して!」

「どうして? 僕達の仲だよ。隠す必要なんてないじゃん。空こそ、腕どかしなよ」


 海は堂々と股間を晒したままだった。わたしはいつもなるべく見ないようにしていたけど、時々、アレがいつもといるのには気付いていた。小学生の時に元お父さん達のを見てしまって以来、それが何を意味しているのか分かっているし、海はお風呂でわたしの目の前で自慰すらしている。だけど、のには、一体どういう意味があるのか。海にそれを指摘したら、何かが変わりそうで怖くて言えなかった。


 海は、わたしが胸を隠すように交差した腕を引き剥がした。


「隠していたら、洗えないよ」

「胸ぐらい自分で洗うよ!」

「だーめ、空はちゃんと洗わないもん」

「そんなことない、海がお風呂に入って来なかったら、ちゃんと洗える」

「そんなこと言うの? ひどい……」

「あっ、そ、そんなことないよ、ごめん……」


 また海の悲しそうな態度に耐え切れず、結局、わたしは胸を隠すのをやめてしまった。


 わたしの胸は人より大きい。母も胸が大きいから遺伝みたいだ。小学校6年の時に同級生の男子に『乳牛』と言われて以来、コンプレックスになった。ちなみにその男の子は、それからしばらくして事故にあって入院、そのまま転校したみたいで2度と顔を見ていない。


「身体、洗ってあげるね」


 海は通常運転でわたしの背中をスポンジで洗い始めた。手際よく洗い終わると、スポンジはわたしのお腹に回ってきた。


「前は自分で洗うからいい」

「駄目だよ」

「何が駄目なの?」


 海はわたしの抵抗もお構いなしにわたしのお腹を洗った。スポンジが胸にかかりそうになった時、海がスポンジから手を離したので、ホッとしたが、それは勘違いだった。


 海は手に石鹸の泡を付けてわたしの乳房を素手で洗い始めた。時々、海の手に力が入り、乳房が揉まれているような錯覚をしそうになった。海の指が乳首に当たると、特に変な気持ちになった。身体の芯に何かビリビリとした感覚が走り、股からぬるっと何かが出てきそうになってわたしは慌てた。


「そ、そこは洗わなくていい!」

「洗わなきゃ駄目でしょ」

「だ、駄目っ……んっ……」

「空、どうしたの?」


 わたしが思わず声を漏らすと、海はことさらそこをしつこく洗う。もうこうなると、海がわたしの股も洗うのは避けられなかった。散々嫌だと言ったのに、自分の股間も代わりに洗わせてあげるからとわけの分からない交換条件を出してくる。


「先に僕のを洗えば、恥ずかしくないでしょ?」


 海は有無を言わさず私の手を硬くなったソレにあてがい、洗わせた。


「ん、もういいよ」


 そう言われると、わたしはホッとして海の股間から手を離し、つぶっていた目を開けた。その後、海は、白い液体を出すまで股間で手を上下させた。


「んんっ!……」


 なるべく見ないようにしてはいるけど、海の艶やかな声を聞くと、ついチラリと横目で見てしまった。海はアレを扱きながら、頬を染めて喘いでいて色っぽかった。海は達すると、わたしのほうを向いた。


「見たかったら、堂々と見ればいいのに」

「そ、そんなわけないでしょ! だいたい、従姉の前でオナニーするなんて、変態だよ!」

「そんな言葉、どこで知ったの?」

「え、普通に……」

「そっか、空もオナニーしてるから、こんな言葉を知ってるんだね。誰のことを考えながらしてるの? まさか今も元彼の圭くんを想像しながら、オナニーしてるの?」

「そ、そんなわけ……!」


 久しぶりに聞いた圭の名前には何とも思わなかった。でも、海の裸をお風呂で見るようになって以来、股がうずうずしてオナニーをこっそりしていた。海にバレていたるかもしれないと思うと、恥ずかしくて仕方なかった。


「僕のオナニーを見たんだから、今度は空の番だね」

「な、何?!」


 海は、お風呂の椅子に座っているわたしの膝をぐっと掴んで開いた。


「ほら、ここを触ってごらん」

「いやっ!」

「いやじゃないでしょう? やってごらん。ほら」


 海は、わたしの手を取って敏感な所を執拗に擦った。


「やっ、やめて……あっ……」


 わたしがガクガクと震えると、やっと海はやめてくれた。


 お風呂を出た後、わたしがプンプンと怒ったら、あんなことをしておいて海はとんでもなくうろたえた。


「ごめん、空。許して」

「もうあんなことしないって約束してくれる?」

「できない」

「なんでよ!」

「だって空がかわいすぎるから。これで許してくれる?」


 海はわたしを抱きしめて額にキスをしてくれた。なんだかそれだけで怒りがスーッと引いていく。我ながらチョロいなと自嘲した。


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