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第10話 意味

 NHKのアナウンサーが、とある研究に対して「なんの意味があるかは分かりませんが」などというコメントをしたとしてプチ炎上していた。

 まず、学問、学術的研究というのは、意味のあることをするものではない。ノーベル賞受賞者などを見て、「意味のある凄いことをやったんだ」と人々は思いがちである。ただ、ノーベル賞の受賞者は基本的に何十年も前に行った研究が、長年の月日を経て実用化されたという、結果論の側面がある。ノーベル賞受賞者も、研究をしている最中には「この研究によって、大いに意味のある成果を出せるのだ」などとは考えていなかったであろう。

 そもそも、学問、研究は、「ある事象、物事にどういう意味があるのか」ということを問うものであり、結果的に意味がなかったなんてことはザラにあるわけである。


 ※


 ここからは、四森流の言説になる。


 意味なんか、ないのだ。


 意味・・・これは、人間が勝手に生み出したもの。基本的に動物は本能のままに動く。そこに意味などない。

 例えば、ある宗教で決まった時間にお祈りをしなければならないという戒律も、その宗教と無縁であれば「なんの意味が?」と思うであろう。


 人間は、「あれには、これには、意味がある」と信じたいのである。なぜなら、何かしらの行為について意味がないと結論づけられた場合、場合によっては人生を否定されかねないからである。


 意味、これは価値観とも通じてくるけれども、とりあえずは意味について、ここまでにしておこう。

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