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第35話 宗教と人権


 チベット仏教の最高指導者「ダライ・ラマ」は、先代が亡くなると、チベット仏教では輪廻転生の信仰があるため、先代の生まれ変わりを、チベットの子どもたちの中から見つけ出して、ダライ・ラマを継承させるそうだ(ずいぶんザックリとした説明であることを断っておく)。


 一方で、日本の天皇や、あるいは君主制の国王などは、世襲が一般的である。


 君主が世襲である常識を持っている人間からすると、チベット仏教が輪廻転生を信じ、直系の親族が後継者になるわけではないということについて、不思議な印象を抱くこと、読者諸君は共感いただけるだろうか?


(※選挙によって選出されるローマ教皇ともまた違っていて、きわめて、日本人の感覚からすると不思議さがあると思うのですが・・・)


 当代のダライ・ラマは、90歳と高齢で、もっぱらチベット内外から後継者問題が取り沙汰されている。


 チベット問題が入り組んでいるので、きわめて簡略化した説明になるが、このダライ・ラマの後継者の選出方法について、中国(中華人民共和国)は、中国の法律に則った形でおこなわれるよう求めている。


 チベット民族の祖国となる地域は、中国が実効支配しており、チベット民族が権能を有するチベット亡命政府はインドにある、というきわめて複雑な状況だ。


 一方で、中国をけん制したいアメリカは、チベットの伝統的な方法で後継者が選ばれることを支持しているそうだ。


 宗教や信仰というものが、多くの日本人にとって根幹にないので、この、急に、子どもが「あなたは、ダライ・ラマの生まれ変わりです」と言われ、継承させられるのは、人権的にどうなのか、という疑問を抱く方は少なくないと思います。


 筆者の立場としては、あくまでチベットの人たちが輪廻転生を信奉していて、そういう合意が民族にあるのであれば、外国人にとやかく言われる筋合いはないだろう、という理解です。


 逆に、「皇室に生まれたら、その人は皇族だ」というのは、別に多くの日本人は疑問に思わないと筆者は考えます。


 強調しますが、どのような継承が人道的で、どのような継承が非人道的だなどということを筆者は言いたいわけではありません。


 それぞれの民族によって、合意された継承には違いがあり、それぞれの民族の価値観はやはりそれぞれだということです。


 ダライ・ラマの継承に話は戻りますが、中国側とチベット側で選出をめぐって対立があるそうです。


 中国は国際社会の中では人権意識が低迷している国ですが、その中国がダライ・ラマの継承に口を挟んでくる・・・すみません。非常に話が複雑で論点が見えづらくなりました。


 要するに、本来、民族が合意していたはずの継承のあり方が、国際政治の目論見(もくろみ)によって、左右されそうだということです。


 チベット、中国、アメリカ。本来であれば、チベット民族の合意が優先されるべきですが、もしかしたら、国際社会からすると、チベット側の方法は妥当ではないとなるかもしれません。


 読者諸君にこの問題を身近に感じてもらうために例え話をしますが、例えば日本に女性天皇を認めるかどうかという議論があった時に、中国や韓国、ロシア、アメリカが首を突っ込んできているという状況を想像してみてください。


 ただでさえ、女性天皇は国内でも激しい争いがありますが、それが国際政治に利用されたとしたら・・・


 不思議な輪廻転生を信奉しているチベット仏教のお話でした。


 そういう価値観もあるのだなあ、という、世界は広いですので、まだまだ不思議な慣習はきっとあるはずなのでしょうが。


 大切な読者の方から、日本における宗教基盤についてのご指摘があり、ちょっとそれっぽいエピソードにさせていただきました。(ひどく、まとまりのない内容になっていることをお詫びします)


 いつも、お読みいただき、コメント等ありがとうございます!


 この世界は不思議です。読者諸君も、外国の不思議な価値観のお話がありましたら、是非教えてくださいませ!

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