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第38話 英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)


【※筆者注。前置きが長いです。『スター・ウォーズ』については読み飛ばしたほうがいいと思います。】


 『スター・ウォーズ』シリーズと言っても、どうだろう、二十歳以下は「なんか続編やってるやつ」くらいの認識だろうか?そんな認識すらもないのだろうか・・・


 筆者は、旧三部作『スター・ウォーズ エピソード4』、『エピソード5』、『エピソード6』はテレビ放送で何度も繰り返し見た世代。

 筆者にとって、新三部作(ややこしくなるが、今となっては旧新三部作という表現が適切か)『スター・ウォーズ エピソード1』、『エピソード2』、『エピソード3』の『エピソード3』が一番最初に映画館で見た『スター・ウォーズ』体験だった。


 ※『スター・ウォーズ』は『エピソード4』『5』『6』、そして時を経て、『1』『2』『3』が製作されているが、物語の時系列は1、2、3、4、5、6の順となっている。(もっとも、『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』<これが現時点での正式なタイトルだと思われる。自信ないです、スミマセン>が初めて劇場公開された時のタイトルは『スター・ウォーズ』。監督脚本のジョージ・ルーカスは最初から壮大なシリーズとして構想していたといわれているが、世界中を巻き込む超メガヒットシリーズになるなどとは夢にも思っておらず、『エピソード4』の公開前は『エピソード4』単発で公開して終わりと思っていたために、なんのサブタイトルもない『スター・ウォーズ』というシンプルなタイトルだったのだ。ジョージ・ルーカスは権利をディズニーに売るまでは、この壮大なスター・ウォーズシリーズを自分が思い描いた完璧なものとするべく、あとから、特別編やソフト化などの際に最初の最初の劇場公開時とはシーンを作り替えてしまうということをやっている。オリジナル、特別版、ソフト版で、特に『エピソード4』に後から作った『エピソード1』の俳優を登場させるなど、もうメチャクチャやっているのだ。)


 旧三部作ファンからは賛否でいうと否が多いイメージの『エピソード1』については、映画館でこそ見ていないものの、たしかレンタル(その頃はまだVHSだったかなあ?)で、何度も見た記憶がある。


 そして、『エピソード7』(正式には『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)以降は、ほっこりディズニー映画という認識である。



※【ようやく、本題に入ります!!】


 スター・ウォーズ456のリアルタイム世代、 スター・ウォーズ123のリアルタイム世代、スター・ウォーズ7以降はちょっと把握していないけれども、スター・ウォーズ123リアルタイム世代くらいまでの映画ファンにとっては、『スター・ウォーズ』をある種の「神話」のように捉えていると筆者は考えている。


 というのも、そもそも、ジョージ・ルーカスは(ここで、ようやく本エピソードのタイトルが出てきます)「英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)」という神話理論をもとに、映画のストーリーを構想したからだ。


 特に、神話学者のジョーゼフ・キャンベルが、多くの神話に共通する物語構造があることを見いだし、「英雄の旅」という物語理論として、こんにちでは知られている。


 筆者は、大学時代に、指導教授から、「本当はキャンベルの『千の顔を持つ英雄』を読んだほうが良いのだけれど、翻訳が良くないので『神話の力』を読みなさい」と言われて、『神話の力』を読んだ(ビル・モイヤーズとの対話形式なので読みやすい)。もっとも、今となっては『千の顔を持つ英雄』も新訳が出ているけれども。


 「英雄の旅」については、詳しく知りたければご自身で調べていただきたい。(筆者自身も正しく理解出来ているとは言いがたいからだ)


 多くの神話に、共通して「英雄の旅」の理論を見いだすことができ、そして、キャンベルがそれを世に知らしめ、それに影響を受けたクリエイターが、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を作り、ピーター・ジャクソンが『ロード・オブ・ザ・リング』を作り、ウォシャウスキー家が『マトリックス』を作ったとされている。


 学生時代に、大塚英志によるストーリーの教科書的な新書を読んだ時にも、「英雄の旅」が基本とされていたと、筆者は記憶している。


 また、『スター・ウォーズ』に関していうと、黒澤明作品(その中でも特に『隠し砦の三悪人』)に多大な影響を受けたことが明らかとなっている。


 『ロード・オブ・ザ・リング』では主人公が、「強大な力を持った指輪」をこの世から消し去るために冒険に出て、様々な出会いと別れを経て、指輪を消し去り、そして故郷に戻ってくる。


 ザックリ言うと、<行って帰ってくる>のが「英雄の旅」の基本だ。もちろん、その間に色々ある(色々の出来事についても、典型的なパターンがあるらしい)。


 太宰治『走れメロス』なんかも、英雄の旅だろうか?ちゃんとメロスは帰ってきたので・・・


 申し訳ないけれども、筆者の力不足で「英雄の旅」を事細かに説明することは出来ない。


 ただ、本当に、世界観が作り込まれた、実際にあった伝説と見まがうような壮大なストーリーを生み出し、「多くの読者の魂を揺さぶりたい」という野望を抱いた野心家がいたならば、是非、本エピソードで言及したキャンベルの書物に触れてみてほしい。


 前述の指導教授がよく言っていた。「古典を父とし、流行を友とせよ」と。


 キャンベルの物語理論こそ、古典中の古典。数々の壮大なる物語に少なからず影響を及ぼしてきた。


 筆者もまだ表面的にも本質的にも理解出来ているとは言いがたい。いつか、理解できる日がくると信じて、創作に取り組みたいものである。

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