この学園は奇妙なほどに幽霊が現れる呪われた建物だ。
それと同時に、何故か『幽霊のおかげで彼女が出来ました』という報告が多数確認されている。
「恋愛がうまくいってるのは本人達の努力の賜物っす。幽霊は退治しなきゃいけない存在っす」
先祖代々から受け継いできた神主の後継者として、ここの幽霊達は退治しなくてはならない。
だがあまりにも数が多すぎる。だから僕は、ゴーストバスターズという部活を立ち上げた。
メンバーは僕を除いて二人いる。まずは、板垣涼介。入部してくれた理由は『面白そうだからです』だそうだ。
二人目は水島栞奈。この中では唯一の女の子だ。訳あって、二人で深夜の学園を徘徊していた際、僕が片っ端から幽霊を退治していたところに感銘を受けたらしく。晴れて入部に至った。
◇夜
「さっ、今日も始めるっすよ! 二人とも、お祓い棒は持ったっすか?」
「雅哉さんから貰ったお祓い棒よ! 肌身離さず持ってるに決まってるじゃない!」
何故かすっごく短いスカートで現場にやってきた水島さんが答える。
「ごめん。忘れたから今日参加できない」
「えっ?」
いざ、幽霊退治のタイミングで涼介が急にお祓い棒が無いと言い始めた。
「取りに帰ってくるから、俺に構わず先に行け!」
「ええ……ていうか君、毎回お祓い棒無くしてないっすか?」
涼介は問題児だ。何かと理由をつけて幽霊退治の直前にドタキャンするのだ。
「つまり今日も雅哉さんと二人きりなのね! やったわ!」
そして毎回急に、水島さんがテンションを上げるのが最近のお決まりになっている。
結局、涼介を置いて僕たちは学園内へ入っていった。
◇
「ツキアエ~、ツキアエ~!」
「幽霊がきたっすね! 水島さん、気を引き締めるっすよ!」
化学室から霊感がビンビン反応していたので、部屋に突入してみると案の定、白い布の幽霊が飛び回っている。
すると、白い布の幽霊が突風を起こしてきたではないか。しかもターゲットは俺では無く水島さん!
幸いにも威力がつむじ風程度だったので、水島さんに怪我はなかった。ただ……
「きゃっ!?」
突風の影響かわからないけど、さっきから白いパンツが見えている。
「この幽霊……なんてことを! 女の子のパンツは神聖なんすよ!?」
「雅哉さん……見たわよね? 責任とって恋人同士になりましょう?」
「幽霊に惑わされたらダメっすよ水島さん! それに僕は何も見てないし、何も起きてないっす!」
僕が咄嗟に目を背けると、水島さんがいきなりスカートをたくしあげながら、僕の視界に入ってきた。
「……雅哉さんのえっち」
「あの幽霊、絶対許さないっす! 水島さんを正気に戻せ~!」
瞬間、僕はお祓い棒で幽霊をぶっ叩いた。効果抜群、幽霊は『ジュンアイガミタカッタ……』と言いながら成仏していった。