「んっ……は……」
胸の先端を口に含まれ、舌先で尖りをゆっくりと転がされる。
以前はまったく感じなかった部分なのに、今は甘く切なくうずき、腰がジンと痺れた。
「くっ……も、そこ、いいから……」
やわらかな髪をつかんで、抗議するように引っ張ると、喉の奥で小さく笑われた。
男らしく骨ばった手が、パジャマのズボンに差しこまれる。そして、まだ兆しのない、やわらかな中心を、やさしく揉みしだかれた。
「あ、……くっ、んん……」
鼻にかかった声が、たまらなく恥ずかしい。必死に声を我慢してると、手の動きはますます激しく、大胆になっていく。
「ふっ……可愛い」
やがて津和の頭が、足の間にゆっくりと沈んでいった。
(あ、ヤバい……)
熱い粘膜が、先走りのにじむ先端を、ゆっくりと包んでいく。そのあまりの気持ち良さに、我慢していた声が自然と口から漏れてしまう。
自分の嬌声は、もう本当に、聞くに耐えない。耳にするのが恥ずかしくて、嫌でたまらない。
(こんな声を聞くくらいなら……キスで口を塞いでくれたほうが、ずっとマシだ)
すべて吸い取られてしまうようで、意識まで持っていかれそうだ。
ギリギリのラインで、必死に踏んばっていたのに。彼の技巧に長けた舌づかいによって、体の奥の秘めた熱が、無理やり外へと引きずり出されてしまう。
(ヤバッ……マジで持ってかれる)
キツく吸われてしまうと、食い止める余地もなく爆ぜた。
(また我慢、できなかった)
乱れた呼吸で彼を見上げた。ちょうど汗ばんだ白い喉が、ゴクリと上下した瞬間が視界に映り、俺はやるせなさに唇を噛みしめた。
こればかりは、やめろと言っても聞きやしない。
俺の体は一気に弛緩しかけたが、津和は間を置かずに後ろへ指を這わせ、丹念に解しはじめた。
ぬるつく指はすでにローションがまぶされているのだろう、さして抵抗もなく挿し入れられ、奥を押し広げられる。
「くっ、ん、ん……」
どのくらい経っただろうか。
リズミカルに動いていた指がようやく抜かれると、一呼吸置いて、彼がゆっくり腰を進めてきた。
「うっ……!」
痛みこそないが、圧迫感がハンパなく、息がなかなか整わない。
喉から漏れる不規則な息づかいに酸欠状態になりそうで、この瞬間は何度経験しても慣れそうになかった。
「ケイ……ケイ……こっちを見て」
津和のこらえるような表情は、壮絶なまでに色香があって、濡れた唇から漏れる吐息すら艶めいて響く。
きっと、もっと自由に動きたいはずだ。
それなのに、ここでも俺の体を気づかって、なかなか思いのまま動いてくれない。
(クソッ、なんだよ……!)
やさしく抱かれているのが、かえってつらくてやるせない。
でも、ここで俺が泣きごとを言えば、ますます津和は遠慮してしまう……そして、きっと後悔する。それだけは、どうしても阻止しなくては。
「もっと、欲しいから、もう」
「ケイ……駄目だって」
「あ、あずさ……う、動いて」
下の名前で呼んだとたん、律動が激しくなった。
津和の荒くなっていく呼吸が、触れあう汗ばんだ肌が、俺に密かな安堵感をもたらす。
そうだ、もっと動いてとばかり、俺は力を失いかけた両足をなんとか彼の腰にからませた。そして何度も、動きが鈍くなりそうな気配を感じるたびに、俺は彼の名前を呼び続けた。
「あずさ、あず、さ」
「ズルい……ケイ、それは反則だ……!」
彼の紳士的な部分がなりをひそめ、ギラついた本能が顔をのぞかせる。
中途半端な気づかいなんていらない。
理性なんてかなぐり捨てて、存分に求めてほしい。