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11「体育の時間、仲間の輪」

新学期が始まって数日。

ようやく教室にも慣れてきたとはいえ、

羽臣羽衣は体育の時間だけは

どうにも苦手だった。


「えっと……今日はバレーボールだなも……」


周囲ではすでに班分けが済んで、

みんな友達同士でチームを作っている。

羽衣はぽつんと体育館の隅で、

ボールを抱えて立ち尽くしていた。


(い、言い出せないだなも……!

 誰と組めばいいのかわからないだなも……!

うう、六夢はもう決まって――)


「――あっ、羽衣!」


パッと声をかけてくれたのは、

六枝六夢だった。

彼女はすでに長刀とペアになって

準備していたが、

羽衣に駆け寄ってきて言った。


「一緒にやろ!

 羽衣、まだペア決まってないでしょ?」


「えっ、で、でも……」


「あー、はーちゃん! 

お前もこっち来いや!

 三人組でやってもええって先生言うとったじゃろ!」


長刀が片手でボールをくるくる回しながら、

ニッと笑う。


「お前バレーのルールわからんでもええから。とりあえず立っといて、

ボール落とさんかったら合格じゃけぇ!」


「な、長刀くん……六夢……ありがと、

だなも……!」


二人の言葉に、

羽衣の胸がふわっと温かくなる。


(あの時、助けてくれた六夢。

そして、最初は怖かったけど今はすっごく

優しい長刀くん……)


体育館の中で、

三人だけが自然に輪になって笑い合っていた。


ボールが飛んできたとき、

羽衣は不格好ながらも手を伸ばして――


「ナイス! 羽衣!」


「おー、うまいじゃろ!」


そう言ってくれる声が嬉しくて、

羽衣は小さく笑った。


(はっち、この二人と一緒にいると、

学校がちょっと楽しくなるだなも……!)



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