その夜、事件のあと。
街灯が等間隔に照らす夜道。
月明かりもどこか穏やかで、
風は湿って少し冷たい。
破れた制服、血のついた袖。
けれどその中で、
3人の笑い声が響いていた。
「マジで……長刀、
デブの腕ごと薙ぎ落としてたじゃん、
キモすぎー」
「うっせ、
あんなヤツの血が服についたんが
一番キモいんじゃ。
クリーニング代がもったいねぇわ」
「はっちはあの時、
2人がカッコよくて泣きそうだっただなも〜……ってか泣いてたなも〜〜」
「それなー。
てか、髪掴まれた時結構焦ったからね!? 」
「いやお前もぶちキレとったがな。
ワシが敵やったら
あそこで心折れて死んどるぞ」
3人とも、制服はボロボロ。
六夢は肘のあたり破けてるし、羽衣の髪も乱れて泥ついてるし、長刀に至ってはシャツが血で染まってる。
でも、誰もそれを気にしてない。
「あっ、マックまだ開いてるだなも!
アップルパイ食べたいなも〜〜♪」
「チキンクリスプ買う。
てかナゲットも食いたい」
「ワシ、てりやきセット……金ないけど」
「え、出してくれるよね?
んねぇ羽衣〜ぉ♪」
「え〜〜〜!?
はっち、お金持ってないもー!」
「いや財布ねぇのかよ!?」
「結局、誰も金持ってねぇんかいッ!」
3人して笑いながら、マックの灯りに向かって歩く。
血の匂いと泥と汗の中で、
それでもこの夜は、どこか温かかった。
そして羽衣もまた、理解してくれる
友人がいる居場所を見つけられた瞬間だった。