朝9時少し前。
まだ人がまばらなデパート前、快晴の空に涼しい風が吹いている。
「夢羽、寒くない? 大丈夫?」
「……うんっ」
六夢は夢羽の手を握り、ほっと一息。
初めてのお出かけで緊張しているのか、夢羽は少しだけ表情がこわばっていた。
けれど――
「おーいっ! おっまたせ〜!」
派手なチェックシャツに迷彩柄の短パン、足元はハイカットの赤いスニーカー。
まるでカラフルな洗濯物の山のような服装で走ってきたのは
――長刀。
そのすぐあとに、白いブラウスにリボンタイ、紺のフレアスカートというまるで雑誌のように整った私服姿の羽衣が到着した。
六夢が長刀を見るなり、吹き出す。
「ちょっ、長刀!
何その服!!
ダサすぎて逆に天才かよッ!!」
「なんじゃとぉ!?
ワシなりにオシャレして来たんじゃけど!
むしろ逆にイケとるじゃろが!」
長刀がぷんすか怒るが、
完全にネタキャラと化している。
六夢は腹を抱えて笑いながら、
夢羽のほうを見る。
「夢羽も見て!
ダッッサいでしょ~?」
すると夢羽は、少し戸惑いながらも――くすくすっ、と小さく笑った。
「……ほんとに、
ちょっと……おかしい、なの……」
「おぉぉおい!!
夢羽ちゃんにまで言われたら
ワシ立ち直れんけぇ!!」
「ふふっ……」
夢羽の口元に自然な笑顔が浮かぶ。
六夢はそれを見て、
心の中で小さくガッツポーズ。
(よし……今日は、楽しくなりそう!)
羽衣がやさしく微笑んで言う。
「夢羽ちゃん、今日は一緒にいっぱい遊ぼうね」
「……うんっ!」