「次、射的コーナーだって!
行こ行こ!」
六夢が看板を指差して走り出すと、
羽衣も「だなも!」と後に続く。
夢羽はというと、景品棚の上段に並べられた。
ふわふわの白いうさぎのぬいぐるみに
目を奪われ、思わず立ち止まっていた。
「あれ……ほしいなの……」
夢羽がぽつりとつぶやく。
それを聞いた長刀、
キリッと目を細め、言った。
「……まかせとけや夢羽ちゃん。
あれは、ワシが取っちゃる」
「えっ!?
無理でしょ、
あんな上段にあるやつって
だいたいダミーだよ?インチキまみれで
どうせ接着剤ついてるパターンだって」
と六夢が眉をひそめる。
「いや、ワシ、射的は得意なんよ」
「え? まさかまたハッタリじゃ……」
「ハッタリじゃない。本当じゃ」
口調はいつも通りなのに、
銃を構えるその姿には
____一切の隙がなかった。
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
パン……ッ
「うそ……一撃で倒したあ!?」
「なもぉ!?」
六夢と羽衣が目を丸くする。
しかもそれだけじゃない。
連続して3発、4発……
どれも全部的中し、
ぬいぐるみの前を塞いでいた
景品たちが次々に落ちていく。
そして____。
最後の一発で、
白いうさぎのぬいぐるみが
ふわりと棚から落下した。
「す、すごすぎるも……」
「えっ、もしかして……
長刀って、
薙刀だけじゃなくて弓とか銃もイケる口……?」
羽衣が目を輝かせ、
六夢が唖然としてると、
長刀は少し照れくさそうに鼻をこする。
「んまぁ……弓も昔ちょっとやっとったんよ。
標的狙うのは、似たようなもんじゃけぇな」
「ひええ……これはモノホンの暗殺者……」
六夢が思わず拍手。
夢羽の前に差し出されたうさぎのぬいぐるみ。
「……あ、ありがとなの……!」
ぎゅっと抱きしめる夢羽に、
長刀は頭をぽんぽん。
「大事にするんよ」
その言葉に、
夢羽の頬はほんのり赤く染まる。
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
その横で、六夢がぼそっと。
「……やるじゃん、長刀。
正直ちょっと惚れそうになったわ。
抱いてー(笑)」
「ちょ、や、やめぇやきっしょいのぉ!!」