六夢は、
臨夢たちと共に
まだ息がある血にまみれた
夢羽を抱えて夜の路地を駆け抜けた。
シーツに包まれた夢羽の身体は軽すぎた。
小さな胸は浅く、弱々しく上下している。
「……絶対、死なせるものか!」
呼吸が荒くなろうが、足が痛くなろうが、止まるわけにはいかない。
後ろから弦夢と臨夢の足音も聞こえる。芽夢は泣きながらついてきていた。
⬛︎ ⬛︎ ⬛︎
──ようやくたどり着いた。
人気のない裏路地、
錆びた鉄扉を蹴破るように開く。
「
急患だ!!!」
乱暴に怒鳴ると、
しばらくして奥から男が姿を見せた。
──闇医者として裏社会に名を馳せる男。
「こんな夜中に随分と騒がしいな……
何だ一体──」
言葉を切らせたのは、
六夢が抱えた少女の姿だった。
両腕がない。右目もくり抜かれ、
血に染まった顔。おぞましいほどの負傷。
「……ひでぇなこりゃ。よく生きてる」
「四十万!!
絶対に……絶対に、この子を死なせないで!!」
四十万は軽く舌打ちし、
すぐに手術の準備を始める。
臨夢と弦夢が運び込むのを手伝い、
芽夢は震えながら祈るように唇を噛み締めていた。