かじかが
『あー、行かなくていいよ。』
『そう?
『そうだけど、メイちゃんは彼氏いるんだろ?だったら大丈夫だけどさ。』
『うん?』
『もう、わかってないな。かじかは二回目だけど
『そういうもん?』
『そう。』
『ふうん・・・でもさ、
かじかがサラっと言うと、
『違うじゃん。まあ・・・そりゃあ、そうだとしても、かじかが望めばそうもなるし。』
『どういう意味?』
『あー、もう。いいから・・・とにかく行かなくていい。わかった?』
『アハハ、行っちゃおっかな。』
『だから!もう・・・お前わざと言ってるだろ。』
少し
『ごめん・・・。』
『・・・いいよ、もう。でも本当にさ、自分を大切にしなくちゃ駄目だよ。』
『え?』
『かじかはどっか・・・背が高いとか色々気にしてるっぽいけどさ。そんなの男から見りゃあマイナスにはならないよ。女の子は皆、少しずつ素敵に変わっていくもんだし・・・前と比べたらお前は可愛くなった。』
『フフ、そういう照れるとこも・・・可愛い。そういうの意識してなかったんだろ?』
『・・・うん。』
『なら、これからは意識して・・・自分が
『そんなの・・・嘘だよ。』
かじかが顔を上げると、
意識してなかったけど、あんな顔されたら恋人じゃないのに、そんな気分になってしまう。
待ち合わせの時間までもう少しある。
早めに来てしまった自分が恥ずかしい。
どうやら浮かれている感じがして、傍のカフェでドリンクを買うと、待ち合わせ場所に戻る。
冷たいカップが指先を冷やしていく。
頭を冷やすには
道の向こうから
『待った?』
『待ってない。ドリンク飲んでたし。』
『ああ、俺も飲みたい。』
『買いに行く?』
『いや、いい。』
『うーん、甘い。うまい。うん?』
急な接近に、かじかの心臓がドッと走り出していた。
ぎゅっと目を
『どうした?』
『なんでもない。』
『うん?』
『ほら、飲みなよ。美味しいよ?』
『ああ、ありがと。』
何、これ?
だって葉月は友達じゃない。おかしいよ、こんなの。
隣を歩く
サングラスを外した顔はいつもどおりで、かじかの視線に気付くと優しく笑った。