それから二ヶ月ほど、かじかは
その間も携帯電話にはメッセージが届いている。
返事はしているものの、なにかと理由をつけて会うことだけは避けていた。
学校でもなんとか顔を合わさないようにしていたものの、とうとう
『かじか!』
呼び止められて手を
久しぶりの
『ごめん・・・。』
振りほどこうと手を動かしたが、
『ちゃんと話しよう。
『・・・そう、だけど・・・。』
ぐっと振りほどこうとした手を上げると、
『かじか・・・頼むから。』
『・・・わ、わかった。』
そう言い終える前に、
綺麗でまぶしい女の子。
彼女はかじかを
『
それを見て
『悪いけど、俺、今かじかと話してる。』
『うん、じゃあ終わるまで待ってる。いいでしょ?』
『・・・よくねえよ。まじでさ・・・。』
『行っておいでよ。また後で電話して。話ならそれでもできるよ。』
『な、かじか!』
かじかは彼女の顔を見て頭を下げると、
『ごめん。本当に・・・
情けなくて泣き出しそうなのをぐっと
真夜中、携帯電話にメッセージ。
『ごめん。』
から始まった言葉は、かじかと彼女のやり取りを全て、知っているようだった。
『あいつから全部聞いた。ごめんな・・・俺、何も知らなくて。』
かじかはそっとメッセージを打つ。
指先が震えていた。
『大丈夫、ごめんね。彼女がいたのに邪魔してたのは私だった。』
『違うよ。彼女じゃない・・・あいつ何言ったのか知らないけど、まじで付き合ってないから。』
『うん、でも友達なら邪魔できないよ。』
『邪魔って?』
『あの子、君のこと好きだって。だから友達としては応援しなくちゃ。』
メッセージを打ち終えて数分、パタリと反応が来なくなった。
かじかが携帯電話を置くと、呼び出し音が鳴り響いた。
おそるおそる出ると
『友達?』
『・・・うん。』
『なあ、まじで言ってる?俺、そんな風に思われてた?』
『え?』
『こんなこと電話で言うことじゃない。でもメッセよりちゃんと言わなくちゃいけない。なあ、かじか・・・俺のこと嫌いか?』
『き、
『なら・・・さ、明日、朝ちゃんと会おう。ちゃんと話そう。』
どこか泣き出しそうな声に、かじかの心臓がぎゅっと
『わ、わかった。ねえ・・・。』
『何?』
『ご、ごめんね?』
『・・・うん、いい。大丈夫・・・でもさ、本当に。』
『うん?』
『頼むから・・・
電話が切れて、光の消えたそれをぎゅっと胸に抱きしめた。
私、
それでも、あの日見た、彼女の揺れる瞳が忘れられなくて、ただ目を閉じた。
早朝、目が覚めて約束の時間前に家を出る。
少し
これからも友達でいよう、そう言うべきなんだろうけど。
冷えた手をポケットに突っ込んで、視線を上げる。
少し離れた場所に
かじかがゆっくり近づくと、それに気付いてホッとしたように
『良かった。来てくれて。』
少し低い声で優しく響く。
『寒いけどさ・・・散歩しながら話しよ。』
『うん。』
二人並んでゆっくりと歩き出す。
隣を歩く
『あいつにさ・・・告白されたんだ。』
『え?ああ・・・そうなんだ。』
ズキっと痛む心臓に、ドキドキがプラスする。
『でも断った。好きな奴いるって。』
『そう・・・なんだ。』
歩いているだけで精一杯で、自分が答えている言葉がよくわかってなかった。
かじかは足を止めた
『わかってる?俺が言ってること。』
『え?あ、ごめん。なに?』
一気に心臓の音が大きくなった。耳にまで響いてくる。
『・・・。』
何か言いかけて
ゆっくりとかじかの傍に立つと頬に触れた。
大きな手が優しく動く。
熱いのは頬?それとも手?
『・・・かじか。』
かじかが顔を上げると、
『・・・傍にいてよ。俺の。』
するっと