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第48話 小春の愛【side花恋】


【side花恋かれん


 あり得ないと思っていた光景が、目の前で繰り広げられていた。


 順平の……、デカい……やっぱりデカい。


 "あたしの好きな男"と、"あたしの好きな女の子"が嬉しそうに睦み合っている。


 それは普段の行為とは比較にならない、背徳的で未経験の快感だった。


 小春こはるは、見たことがないくらい嬉しそうだ。


 そんな顔を見せつけられ、あたしの脳裏に惨めさと嬉しさが同居したゾクゾクした電流が駆け抜けて全身を満たした。


 小春こはるを奪われる焦燥感、悔しさ、弟という身近な人間に奪われることの屈辱。


 それと反対の、順平に奪われた事に対する喜びが確かにあった。


 順平のデッカい身体が、女を支配している。その姿は頼もしく、雄々しく、私のメスを疼かせた。


 その事実があたしをますます興奮させた。

 自分の性癖がこんなにもただれていることに驚きを隠せないけど、あたしの心は喜びに満たされていた。


 自分がなんでこんな性癖を持っているのか、きっと順平が好きすぎたことが原因なんだろうなぁ……。


 自分のルーツをなんと無しに思い出しながら、絶頂の衝撃で意識は遠のいていった。

 ◇◇◇◇◇


「んあ……?」

「あ、目が覚めた、花恋かれんちゃん?」


小春こはるのおっぱいだ……」


 後頭部に感じる柔らかい感触は小春こはるの太ももだ。

 これまで何度も感じて来た安心感のある巨大な母性に自然と手を伸ばす。


 しかし、あたしの手を小春こはるはそっと制して申し訳なさそうに微笑む。


「ごめんね花恋かれんちゃん。私の身体全部、もう順平ちゃんのものだから……。許可無く触らないでね」


 ゾクゾクッ……。


 小春こはるの言葉に言い知れぬ興奮が全身を支配していく。

 つま先がベッドのシーツにギシッと食い込んで再び股間に手を伸ばしそうになる。


「ごめんね、冗談だから」


 あたしは相当に酷い顔をしているのだろう。優しい声色の小春こはるが大きな愛で包んでくれた。


 柔らかな感触が顔を包んでくれ、あたしの心が安らぎに包まれる。


小春こはるぅ~ううぅ、あたしのこと分かってくれるぅ」


「うん、よしよしだよ……順平ちゃん、花恋かれんちゃん甘えモードに入っちゃった。あのね……」


 あたしの視界の端っこで小春こはるが順平に耳打ちしている。


 いつもの小春こはるならここでおっぱいを吸わせてくれるんだ。

 あたしは精神的に不安定になったとき、よくこうして小春こはるのおっぱいを吸わせてもらっていた。


 初めはカップル同士のじゃれ合いみたいな感じだったのだが、小春こはるのおっぱいの癒やしの力がもの凄い。


「なるほど、姉ちゃんは存外甘えん坊だったんだな。いいぞ小春こはる。それが二人の愛し方なら」


「うん。ありがとう」


 そう言って小春こはるは目の前に差し出してくれる。


 あたしは甘い匂いを錯覚しながらいつものように口に含み、赤ん坊のように音を立てて吸った。


 心の中に満たされていく大きな母性による安らぎで、小春こはるの大きな胸にしがみ付きながら心の緊張を解いた。


「こうしてみると本当に赤ちゃんみたいだ」


 弟がからかってくるが、今はそれに応えている余裕はなかった。


 倒錯的な快感絶頂で意識がぼんやりしており、あたしは本当に赤ん坊になった気持ちで小春こはるに身を委ねる。



「こはるん……愛してる……」

「……うん、私も愛してるよ花恋かれんちゃん」


 優しく髪を撫でてくれる小春こはるの安らぎに包まれ、私の気持ちは少し解放されていく。


「じゅんぺー」

「どうした姉ちゃん」


「抱っこして」

「分かった」


 いつもなら言わない台詞を、こんな状態だと言ってしまう。


 そして順平はそれを優しい声で受け入れてくれた。


 小春こはるから口を離し、弟の膝に跨がり、まるで娼婦のように抱きつく。


 だけどあたしと順平の体格差だと子供が抱っこをおねだりしているようだ。

 実際その通りなんだけど……。


 大きな胸板。温かい体温。太くて硬く、たくましい腕に包まれる。


 戦えばあたしの方が強いけど、きっと単純な力は圧倒的に負ける。


 それがとても心地良かった。


 順平の大きな身体が好きだ。こいつの身長がぐんぐん伸び始めた頃から、徐々に男として意識するようになったのを思い出しながら、しばらく抱き締め続けた。


 順平もあたしに応えて抱き締め返してくれる。


「順平ちゃん、私も抱っこしていい?」

「ん? いいけど」


 そう言ってあたしを小春こはるに渡そうとすると、そうじゃないことを理解する。


 小春こはるはあたしを抱きかかえたままの順平に抱きついた。


 大ボリュームの柔らかい感触が背中にくっ付き、あたしは順平の逞しさと小春こはるの母性の両方に包まれることになる。


 幸せが心の中をいっぱいにしてくれる。

 小春こはるは順平と足を絡めて更に密着度を高めてくる。


花恋かれんちゃん、私ね、今でも花恋かれんちゃんの事大好きだからね。だからこれから沢山、愛し合おうね」


小春こはる……」

「姉ちゃん。希良里きらり有紗ありさとの事も姉ちゃんのおかげだって聞いてる。俺はそのことに凄く感謝してるんだ」



「うん……色々隠してごめん……」


「いいさ。色々考えての行動だったんだろ? 全部聞くのはこの合宿が終わってからでいい。今はこの状況を楽しもうか」


「うん……」

小春こはる

「うん♡」


 言葉少ない順平の指示に、小春こはるは全てを理解しているかのように迷い無く動き始める。


「お前ら、本当にツーカーの仲なんだな……」


 しみじみとそんな言葉が出てきてしまう。あたしには今のやり取りで何が通じ合ったのか分からなかったが、小春こはるが後ろに倒れ込みながらスカートをまくり上げているのを後ろから見て悟る。


「このまま姉ちゃんを挟んで小春こはるとイチャイチャしてやるよ」


 そう言って、あたしの身体を反転させて小春こはるの上に乗せた。


「こ、小春こはる

花恋かれんちゃん見てて……。私が順平ちゃんに抱いてもらうところ……♡」


 あたしの中に再び電撃のような興奮が膨れ上がったのが分かった。


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