4月25日
最近、面白くない。
だから、進展させることにした。
このところ、ワニンゴにだけは優しくしている。「デートしよ♡」と言って町に連れ出したり、武器屋で超高級メリケンサックや、防具で最先端トゲ付き肩パッドを買い与えたりして特別待遇だ。
もちろん、残りの2人は初期装備のまんまだ。
だんだん、ブータロウとカレキの目が据わってきて、ワニンゴを睨むようになってきた。
ワニンゴはもちろん浮かれていて、調子乗って私の肩に触れてきた時には「魔王の呪い。性病。もげる」という3つのワードで牽制して、身の安全は確保した。
まあ、でもこれだと可哀想なんで、「魔王さえ倒せればエッチできるよ♡」と言ったら、鼻の下を伸ばして「よっしゃ! 魔王さっさとブッ倒す!」なんて言ってた。
少し考えろよ。お前みたいなブ男とそんなことするわけねーぇだろ。
でも、まあ、馬鹿な子ほどカワイイとも言える。泣き顔だけは好き。
こうして、3人の男どもの仲に亀裂を入れた。
最初に動いたのはカレキだった。
「勇者殿。折り入ってお話が…」なんて話し掛けてきて、ワニンゴの悪行を私に告げ口してきた。
ワニンゴにはある程度、自由行動(夜寝る時以外は馬車に居なくてもいい)という許可を与えていて、たまに酒場に飲みに出かけてヘベレケになって帰ってきているらしい。
そして、どうやら「あの女勇者は俺の女だ」みたいな話をあちこちで言いふらしてるそうだ。
事実確認をブータロウにしたら、「あー、はい。間違いないです。他にもワニンゴさんは〇〇で✕✕とかもしてましたよ。あ。けど、ボクが言ったとかなしで」とかかんとか言ってた。
まあ、そんな内容はどうでもいい。
ワニンゴを誘導して、ふたりっきりの時に「ワニンゴ、カッコいいしぃー、彼女になっちゃおうかなぁ♡」なんて言ってたのは私だしな。
もちろん、カレキもブータロウもそれは知らない。
だから、「よく報告してくれた。お前たちはよい忠臣だ。褒めてつかわす。後に、ワニンゴには沙汰を言い渡す」と言ったら、2人は天にも昇るような笑みを浮かべたんで……私は思わず噴き出しそうになった。