5月20日
なかなか、カレキとブータロウの仲は進展しない。
なぜかと思ったら、ブータロウは毎夜毎夜、家族の写真を見て話し掛けているからだった。
なんなら写真にキスまでしている。奪い取って燃やしてやってもよかったが、あいにくと炎系の魔法は使えないので止めた。
ブータロウの履歴書を確認して、故郷の町を特定する。
位置が判明すれば、瞬間移動魔法でひとっ飛びだ。一度寄った町や村じゃないと飛んで行けないじゃないかって? 私の魔法はそんな欠陥魔法じゃない。
ブータロウはかなり裕福な町に住んでいた。家もうちみたいな貧乏じゃなく、超高級住宅街だ。
ネギ1本も老舗高級デパートで買いそうなセレブで、都内100階建てのオフィスで働いていて、交通系電子マネーには10万円入ってて、ランボルギーニの扉は電動扉で、TOEICは942点かも知れない。……生意気だ。
町で探偵をやってそうな人物を探し出す。
見つけたのはなんか有名探偵らしいヒゲ面のオッサンで、メガネを掛けたガキがチョロチョロしてた。
依頼金を「キャッシュ? クレジット?」とか言うて求めてきたので、「拳系マネーのナックル決済」と答えたら、「貧乏人はお帰り下さい」とか失礼な感じに返してきたんで、3発ほど支払ったら、喜んで依頼を受けてくれた。
調べる内容は当然、ブータロウの家族についてだ。サボられると困るんで、名探偵を24時間体制で家に張り込みさせるため、使い魔を24時間体制で名探偵につける。
……うん? 探偵なんて使わずに、使い魔に調べさせた方が早かったかな?
まあ、そこら辺はいいや。支払っちゃったし。