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5月29日(その1)

5月29日(その1)


 朝から慌ただしい。なんか女将が頃されたらしい。ヒゲとメガネが活き活きとしていたけど、まあ、そんな事はどうでもいい。


 こっちは少し寝不足だ。頭が回んない。


 というのも、0時を回った時点でワニンゴが「解禁だ!」とシコろうとしたのを全力ビンタで止めて、「な、なんでぇ?」ってところに、「私がオ●禁を命じたのは4月29日の12時18分だから、1ヶ月丁度なら29日の12時19分が解禁だ」と伝えた。


 そうしたら生意気にも「4月28日だったよ! 禁止されたのは!」とか言うんで、日記を見直したら確かに4月28日でワニンゴが正しかった。


 「ほらみろ! その理屈が正しいなら、俺は昨日の12時1分にはオ●れたぞ!」のか捲し立てて来たんで、なんかムカついたんでまたビンタし、「1ヶ月とは言ったが、1ヶ月“丁度”とは言ってない。それに、まだ解禁したとも言っていない」とその場の勢いで乗り切ったら、ワニンゴは心底恨めしそうに見てきた。


 旅館の中が騒がしい。ここに来る道が岩で封鎖されて、警察も来れないそうだ。


 そういや、夜中に庭園の池に、足だけ出して刺さってる和服女性がいたけど、あれがもしかしたら女将だったのか。シンクロナイズドスイミングの練習でもしてるのかと思ってスルーしてしまった。


 ヒゲとメガネがなんか勝手に調査とかしてる。


 食堂に誰も行ってないみたいで、私たちだけで勝手に食べる。朝食はビュッフェスタイルだ。


 ヨーグルトにコンフレークを入れてイチゴジャムをかけてると、カレキが「ワシの尻も今こんな感じで…」とか言ってきたんでブッ叩いたら、「ブータロウの姿が昨日から見えません」とか真面目な話を始めた。どうやら馬車の方にもいなかったらしい。


 「ふーん」と思ってたら、何やら旅館のスタッフがこっちを見てヒソヒソと話してる。


 カラテが「ブータロウさんがヤッたんではないかと思われているのでは……」とか言うんで、「そうなんだー」と答えておいた。


 ヒゲとメガネが私にもアリバイ聞いてきたんで、アワビの殻の枚数を数えてたと話したら、「ホントにぃ?」とか怪しんできたんで、「お前らがエッチな映像みるために、有料チャンネルのカード買ってたのは知ってる」と話したら、気まずそうに「疑ってすみません」とか言ってきた。


 他人のアリバイ聞く前に、自分のアリバイなんとかせーや。

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