5月29日(その4 )
ふざけやがって。4ページめだぞ。
さっきので終わりだろ、普通。きっちり1ページに収まらないだけでもイライラする。
もう旅立とうとしたら、「ここにいる全員が容疑者である以上、帰らせるわけにはいかない」とか「道が寸断されてるから帰れない」とか言ってくる。知ったことか。
「頃しの犯人が分かればいいんだな?」と言ったら、ヒゲとメガネが「推理を……」とか言ってたんで、これ以上は日記に書きたくないんでビンタして止めた。
「これからここにいる全員に、レベル99全力ビンタをお見舞いしていく。私のビンタは猪●のビンタより強烈だ。なぜか分かるか? 猪●や蝶●には“愛”があった。だけど、私にはお前らに対する愛など微塵もないからだ。タヒにたくなきゃ、犯人は名乗り出ろ。自薦他薦は問わん」と言ったら、全員が押し黙って静かになった。
10秒数えて待つけど、誰も名乗り出ない。
他薦も……他薦したヤツに向かって手の平を向けたせいで、“喋ったヤツが犯人だということでビンタする”という私の作戦を感じ取ったらしい。勘のいいヤツはキライだよ。
「仕方ない。犯人も始末する上で、多少の犠牲はやむを得ない」と全員ビンタしようとしたら、なんか料理人見習いっぽい小坊主が手を上げた。
「も、モブ郎! ま、まさかお前が……」とか旅館の誰かが言って騒ぎになったけど、私からすれば「誰?」って感じだ。
じゃあコイツをビンタしてピリオドだと思ったら、ビビッと私の“腐”センサーが反応した。
モブ郎を取り押さえようとした馬鹿どもを私は次々ビンタして行く。ぶっ飛んで、旅館のロビーが目茶苦茶になった。ちゃんと受け身とれよ。
「ど、どうしてボクを……」とつぶらなお目々でモブ郎が尋ねてきたんで、「BLは命より重いからだ」と教えたら驚いていた。
「理由を話してみろ。聞いてやる」と、タヒんだ馬鹿どもに蘇生魔法を掛けながら促すと、モブ郎は頷いて語り始めた。