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5月29日(その6)

5月29日(その6)


 道を塞いでる岩をワンパンして砕いて来る。


 カラテが「どうしたらそんなことができるように?」と驚きながら聞いてきたので、美容液と乳液を毎日欠かさず顔に塗って、拳を塩酸と硫酸に交互に漬ける訓練を半年続けたらできると説明したら、真面目な顔をして「美容液と乳液の商品名を教えて下さい」とか聞いてメモを取ってた。とりあえず、全部適当に答えた。


 岩を砕くと、ようやく国家権力たちが入って来た。


 女将と料理長を見て「な、な、なんじゃこりゃー」って感じになって、ボロボロになったロビーを見て「これも殺人鬼が……」とか言うてたんで、「これは私がやった」と説明したら、「えー、うそー。お嬢ちゃんが?」みたいなことを言われた。


 それから全員事情聴取だ。色々と聞かれる。


 相手は国家権力だからしばらくは我慢してたけど、段々とイライラして来る。


 ようやくしてモブ郎に手錠を掛けて国家権力が私の前に来ると、「うーん、ちょっと、君、やりすぎだねぇ。その、若いからってのもあるんだろうけどさ、暴力で言うこと聞かせるってのはダメだよ。世の中ね、そういう風にはできてないの。社会出た時に困るよ。今のうちにそういうところ直そ。ね? ほら、お仲間の大人たちも困った顔してるでしょ。目上の人に対するリスペクト忘れちゃダメだよ」とかなんとか言ってきて、カレキ、ヒゲ、メガネ、カラテが頷いていた(ワニンゴはメンタルブレイク中)。


 だから、そこで全員ビンタした。


 国家権力が「な、なんてことするんだ! 公務執行妨害だぞ!」とかかんとか叫んでたんで、「そんな偉そうなこと言うなら、先に魔王なんとかしろ」と言ったら、「それは我々の仕事じゃないというかぁ〜」みたいな言い訳を始めたんで、「大人のくせに言い訳するな」と全員正座させて説教した。


 これ以上は面倒くさかったんで、女将と料理長を蘇生してやったら、みんなで「えー」みたいな顔をしていたんで、「責任を取るってのはこういうことだ」と話したら、国家権力たちも何も言えなさそうな顔をしていた。


 そんなことをしてると、カレキが走ってきて「ば、馬車にこんな書き置きが…」とか私に紙切れを手渡す。


 どうにもブータロウは、スーパーの副店長をヌッ頃しに向かったらしい。道中を塞いでた岩はヤツの仕業だったらしい。


 みんなが「どうしよう」って私の顔を見てきたんで、「大人なんだから自分で考えろ」と言った。私はドラ〇もんじゃない。








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