6月5日
エリアマネージャーがやって来た。髪が薄く、眼鏡で出っ歯で甲高い声のオッサンだった。
店の様子を見てびっくら仰天していたけど、今日の売上を見せたら「こ、これは……」とか言ってお目々を輝かせていた。
お客さまご意見箱を見せて欲しいと言われたけど、ガチムチ店長のバトルが激しくて破損したと伝えた(大嘘)。
エリマネは「ガチムチ店長くぅん!」とか怒り出し、「君は店舗運営もせずに、なにをバトルしているのかねぇ!?」とか怒られて、ガチムチ店長はでっかい肩を縮こまらせて謝っていた。
そして、「今後はこの勇者くんに全権を与えてだね、この店をモデルケースにして他店舗の徹底改革を…」とか勝手なことを言ってきたんで、「そんな大人の都合にかまけてられない。私には魔王を倒す使命がある」とキッパリ断る。
それと、「魔王軍幹部を平気で店長にさせるような悪徳企業は反社だろ」と言ったら、エリマネはびっくら仰天していた。
ガチムチ店長は「身近にある食から侵略していく魔王軍の計画が……」とか、「まさかこんなに早く勇者に勘付かれるなんて……」とか言ってたんで、「悪が栄えた試しなしだ」と答えといた。後ろでモヒカンが「ヒャッハー!」とか言って応援してくれている。
エリマネが「魔王軍が我が社に気づかぬうちに忍び込んで店長になっていたとは! これは由々しき事態!」とまで言った時に、私の“腐”センサーが反応する。
「クビだぁー!」と叫んだエリマネをビンタして止める。ロケットみたいに飛んで、“トトイチ”の看板を破壊した。店の備品を壊すだなんて……これはエリマネは始末書もんだろう。
ガチムチ店長が「ゆ、勇者…?」とかお目々をパチパチさせて見てきたんで、「理由があるんだろ? 話してみろよ」と言ったら、嗚咽を漏らして語りだそうとしたので止めさせた。
「え? な、なんで?」とか聞いてきたんで、「日記のページ関係だ。明日にしろ」と言った。
私はカレキとワニンゴと、ブータロウ(棺桶)を連れて馬車に戻った。
カラテは最近はビジホに泊まってるらしい。「朝食は食べ放題なんでw」とか教えてくれた。
少し興味ある。最近、クロワッサンにハマってるし。