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 俺だ。ワニンゴだ。


 あの女の隙をついて、この先の日付のページとページの間に記録を残す。


 紙を丁寧に薄くヤスリがけして2枚を貼り合わせた。これで気付かれないはずだ。


 そうだ。ヤツの悪逆非道の数々を正確に残すために……。


 俺たちは、あの女の勝手な命名でワニンゴ、ブータロウ、カレキなどと変な名で呼ばれるようになった。


 事の発端は、俺が今日も今日とてと酒場でナンパをしていた時のことだ。


 「魔王を倒すとか言っている暗そうなヤベー女がいるw」と聞いて、興味本位で見に行ったのが運の尽きだった。


 酒場なのに、それは明らかに未成年の小柄な女だった。確かに暗い感じで、ボソボソと「お前も勇者にならないか?」とか強そうなヤツに言っていた。


 何人かがふざけて声を掛けに行ったが、女が何か答えると嫌な顔をして去って行く。俺には「もげる」という断片的な部分しか聞こえなかった。


 よく考えたら、そこでヤツの異常性や危険性に気づくべきだったんだ……。


 どこにでもいる言わゆる非モテの根暗な女だ。


 ちょっと強気で迫ればどうとでもなりそうなタイプだった。


 普段なら興味も引かれない。だが、酒の勢いもあり、ウブな田舎娘を俺好みに調教するという最近見たAV設定にハマってたこともあり、ヤリ捨ててやるつもりで声を掛けてしまった。


 まさか、それが“悪魔の化身”だったなんて……


 後は知っての通りだ。


 俺は馬車に軟禁される。


 パーティーのお荷物で馬車組になる話はたまに聞くが、最初から最後まで馬車の外に出ることを許されないなんて話は聞いたこともない。


 少しでも抵抗しようものなら、即ビンタされる。これがメチャクチャ痛い。アゴが外れる程度ならいいが、ヒドイ時にはアゴが粉砕し、全ての歯が折れることになる。


 そのまま意識を失えればいいが、あのクソ女は中級回復魔法で中途半端に回復させ、“激痛が残ったまま放置”するという悪魔的発想で俺たちをジワジワと追い詰めていった。


 最初に心が折れたのはジジイだ。最近ではあの女に心まで洗脳されたのか、気持ち悪い漫画や小説を読み耽り、馬車の隅でアヘ顔ダブルピースの練習まで始めていた。


 残った俺とブータロウはなんとか協力して、“正気のまま”生き残る術を……


 あれ? あの女、夕方まで戻って来ないって言


【ここで記述は途切れており、隣のページは血痕に汚れていた】

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