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6月17日

6月17日


 ようやくロリコの師匠とやらの居場所に辿り着く。


 それはオフィス街。殺伐としたビルとビルの間、商社の雑居ビルの中へと入っていく。


 受付で「アポは?」とか聞かれたんで、「お前の頭を小突いて、アホ・・にしてやればいいのか?」と返したら、ロリコが慌てて「あ〜りが〜とさ〜ん!」と叫び、受付と警備員が「ズコーッ!」と転けた。名人の鉄板ギャグは最強らしい。


 「お前の師匠は、伝説のお笑い芸人か何か?」と聞いたら、ロリコは「違いますぅ! 賢者ですぅ!」とか言うてたけど怪しい。走り方が●ちゃん走りだし。


 今にもぶっ壊されそうなエレベーターで昇り、営業課と書かれたプレートの部屋に入る。


 事務机のところにいたのは2人。茶色い背広姿の濃い顔のオッサンが、私たちを見るなり「げぇ!」とか言って立ち上がる。


 ロリコが「私のお師匠のアナルゴさんですぅ!」とか言ってるけど、当のアナルゴは「おいおい! 勘弁してくれぇ!」とか慌てた様子だった。声がやけに野太い。


 隣の青スーツの丸メガネが、「えぇー! アナルゴくん、こんな美少女の弟子がいたのかぁ〜い!?」とか叫んでる。声が甲高いのと…オーバーリアクションにイライラする。


 「ち、違うんだよぉ! フグリ田くぅ〜ん。これには山より高く、海より深いワケがあるんだよぉ!」とか言って、フグリ田が「奥さんに怒られるんじゃないのかぁい?」とか、「内緒にしてくれよ! 後生だから! 今夜おごるからさぁ!」とか、サラリーマンのクソみたいな一面を見せつけられる。


 このままじゃ埒が明かないので、「ゾンビを治せるのか? ついでにクソ男の性欲も消滅させてほしい」と言ったら、アナルゴは「あー、んー、コホン! き、君たち、あっちで話そうか」とか言い出したんで、「また明日だ」と伝えた。


 理由を伝えたら、「ハハハ! マンガや小説のあるあるだねぇ〜!」とかフグリ田が言うて来たので、イラッとしてビンタした。


 日記だって言ってんだろ。


 フグリ田が落ちていった割れた窓から下を見たら、外で路駐してあった馬車に違反切符が切られていた。カレキがしきりに国家権力に頭を下げていた。

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