6月29日(その2)
私はワニンゴに蹴り飛ばされ、壁に激突した。私を中心に、壁にクモの巣みたいなヒビが入る。ドラゴ●ボールで見たやつだ。
ワニンゴはギュインギュインという赤い“気”みたいなのをまとい、「笑えよ、勇者」とか言うてる。いつもより筋肉も180%増しで、全身の血管が浮きだっていた。ドラゴ●ボールで見たやつだ。
股間に刺さったテ●ガも勝手に上下している。これはドラゴ●ボールで見たことない。
「おい。カレキ。お前もコイツには恨み辛み嫉み僻み妬み怒り憤り諸々でバンバンで、倍満じゃ済まねぇ爆発するモンがあるよなぁ? ないとは言わねぇよなぁ?」とか言うて、岩陰からアナルゴとフグリ田が「さすがワニンゴ!」「シビれる! あこがれるゥ!」とか言うてる。
カレキは「ワシは……」とか言うて、人差し指同士をツンツンさせていた。
「なら、ロリコはどうだ? 働いている大事な店を潰されて、理不尽な暴力を受けて、オ●禁矯正で、マザコンを暴露された上、チ●ポカットまでされた気分は最悪だろ!?」とか言うてるが、ロリコは「え? マザコン……? いや、なんか私と関係ないことが混じってますぅ〜」とかドン引きして、ワニンゴは「うるさい! 細けぇことはいいんだよ!」とか逆ギレした。
「しかし、それも終わりだ! このクソ勇者をボコボコにして、エロッティでスケベッティなことをしまくって、それをツラツラと日記に書かせ、親前で朗読させてやる! それからマグロ漁船で海外に売り飛ばしちゃるぜ!」とか言うて、岩陰からアナルゴとフグリ田が「さすがワニンゴ!」「シビれる! あこがれるゥ!」とか言うてる。
「へー、そんなこと考えてたんだ」と言いつつ立ち上がると、ワニンゴはベタな悪役よろしく「な、なぜ立ち上がれる?!」だって。
「ダメージは入ったろ! さっきの俺の連続攻撃、必殺コンボからのゲージMAXの超必殺技でカンストダメージだったハズだ! 立ち上がれるハズがない!」とかわざわざ説明してくれる。
確かにコイツの言ってることは間違いない。
だけど、肝心なことを1つ忘れている。
「なあ、私は勇者や正統派ヒロインである前になんだと思う?」と聞くと、ワニンゴは「な……に?」とか言う。質問で質問を返すな。
「私は勇者である前に、“主人公”だろ?」とカレキに聞くと、彼は「確かに!」と頷く。
まだ分かってないみたいで、ワニンゴはキョトンとしてる。
「だからさ、これさ、“イベント・バトル”だろ?」