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第2話 誓い

( あれから数日たった。やっと落ち着いてきた。 )


     あの時のことを考える。


( あの時は色々分からなくてパニックになっていたな、そのあとの二人の衝撃的な行動に頭がパンクして気絶してしまった。 )


     やっと落ち着きてきたので、頭を整理する。


( どうやらここは夢でも天国でもないらしい。頬をつねってみたがちゃんと痛かった。それに、あの時は気づかなかったけど、俺の身体は赤ちゃんになっていた。どうりで空たちが大きかったわけだ。)


     辺りを見回す。部屋がやけに広い、家具が大きい。身体は動かないので目だけを動かして確認する。するとふと鏡が目に入った。俺の姿が見える。


( こっこの姿……やっぱり赤ちゃんになってる、何となく分かってはいたけど、いざ目の前にすると意味わかんないな。)


     俺は鏡で自分を凝視する。青っぽい薄い紫髪、少しくせっ毛なのかうねっている。

そして大きくて綺麗な少し濃い青色の瞳


( 俺………可愛いいいいいいい!!そりゃそうだ、だってあの二人の子供だもん!)


     自分の姿に酔いしれてる時、向こうの方から足音が聞こえてきた。


「 陸〜ご飯の時間だよ。そろそろ起きないとだよ〜。  」


     おっとご飯の時間だ。空が迎えに来てくれた。


「 もう起きてたんだぁ、お腹がすいているからなのかな?  」



     そう言って空は俺を丁寧に抱き上げる。そして、哺乳瓶を口に近づけた。さて、話がそれてしまった。改めて頭を整理する。哺乳瓶をくわえながら考える。


( どうやら俺は何らかのことが起こって転生してしまったらしい。転生する前のことはあまり覚えていない。ただ、ここが前世で俺が大好きだったBLゲームの世界だということはわかる。ここは「空の恋路」というBLゲームの2作目「季節風」の世界だ。)


     「空の恋路」とは俺の親である空が主人公のBLゲームだ。そして、「季節風」はその2作目で、空の恋路の主人公空が攻略対象と結ばれ結婚し、子供ができる。その子供が季節風の主人公だ。学園BLゲームだ。


( 空には二人の子供が生まれる。そして季節風の主人公は、次男である「雨月風太」(あまつきふうた)だ。ということは、俺は風太の兄、「雨月陸」(あまつきりく)ということか!確かに空や海は俺のことを陸と呼んでいた。俺は雨月陸に転生したのか!雨月風太は、俺の最推しだ!推しの兄になれるなんて、これほど幸せなことは無い!! )


「よーしたくさん飲んだね。ゲップもちゃんと出たし、やっぱりお腹すいてたんだね、たくさん飲んでくれて良かったよ。」


     空の顔を見る。ゲームで見た時よりも少し大人っぽくなっている。空は綺麗な、まるで青空のような水色の髪で、少し丸めなキラキラと輝く水色の瞳を持っている。


     海もやって来て二人で俺を見ている。

海は、深い藍色の髪で、切長のまつ毛が長い青色の瞳を持っている。


( やっぱり美しいな〜この二人は、まじ尊い。俺と髪色が似ていないことは御法度だ。この世界では普通のことだ。)


     二人の笑顔を見て俺も嬉しくなる。


( 幸せになってくれてよかった。空も海も色々と大変だったから、幸せそうな二人を見れて嬉しい。それにこれから、風太も産まれてくるだろう。そうなれば、より一層幸せになるはずだ、俺がこの笑顔を大切にしなければいけない。産まれてくる風太にも笑顔でいて欲しいから、この幸せをずっと守っていかなければいけない。)


     二人の笑顔を再度見る。そして決心する。


( 俺はこの幸せを守っていきたい。)



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