あれから3年、今日は風太の待ちに待った
入学式だ!
やはり主人公がいないとあまりパッとしない日常だった。なんだか、風太の入学式までスキップしたかのような感覚だ。
ちなみに、夏木くんとはあの出会いがきっかけで仲良くなり、今では親友だ。原作でも仲良かっただけはあって、すごく気が合う。パッとしない日常で唯一はっきりと覚えていることが、夏木くんのことだ。
俺も一応イケメンに分類されると思うが、夏木くんが近くにいると自信を無くす。
「 ある時は、ラブレターを渡されて、夏木くんに自分で渡すのは恥ずかしいから渡してほしいと頼まれたり、ある時は、友達同士で夏木くんと遊びに行こうとしたら、どこから聞いたのか、自分も同行したいと言ってきたり、ある時は夏木くんの電話番号を教えて欲しいと迫ってきたり、ある時は、夏木くんの私物を貰ってきて欲しいと頼まれたり、一種の変態だな。自分で言うのはなんだが、一応俺もイケメンだと思うんだけどな、あんなことばっかりだったら嫌でも自信を無くす。はあああ〜〜。 」
「 おいおい、なんかブツブツと喋ってたと思ったら、今度はクソデカため息して、どうした〜? 」
「 あぁ、お前か……優志 」
今話しかけてきたやつは、田村優志( たむらゆうし )俺のもう1人の親友だ。優志は重要人物などではない、ごくごく平凡の人だ。いわゆるモブというやつだ。俺はそんなこと関係なく友達として信頼している。
まぁぶっちゃけ俺も原作にほとんど出てこない顔も出ないキャラクターだから俺もモブみたいなもんだしな。
「 あー、優志〜、なんか落ち着くわ。 」
「 ほんとにどうしたー? 」
「 優志、あれ、見てみろよ。 」
優志は俺が指さした方向を見る。そこには、年上年下関係なく、女子に囲まれている夏木くんの姿があった。
「 あれ見てると、どうしても自信を無くしちゃってな。 」
「 あれは誰だって自信無くすわー。てゆうか、陸も顔良いと思うけどな〜。安心しろよ、お前はちゃんとイケメンだ。それより、イケメン二人に挟まれてる俺の身にもなってほしいもんだよ。 」
「 あはは、でも優志はみんなからの人気高いぞー。 」
「 マジ!?俺でも陸達に勝てるとこあるんだ! 」
「 マジマジ、男女共に好かれてるよ。面白いしね。コミュニケーション能力は優志が1番優れてるよ。優志から話しかけられて友達になったしねー。 」
「 そういやぁ、そうだったなー。いやー懐かしゅうございます。それにしても時が経つのは早いですなぁ。今日は陸の弟くんの入学式だっけ? 」
「 そうそう、風太って言うんだ。とっても可愛いんだよ。 」
「 ブラコンだなぁー、さてさて、風太くんはどこかなー。 」
そう言って優志は、風太を探す。優志は話しやすい。夏木くんはどこか攻略対象として一目置いている感じがする。
「 目立つと思うからすぐわかるよ。 」
「 うーん、目立つってもなー何人か目立ってるやつはいるんだけど、どれだ? 」
そうか、今日は風太の入学式、もちろん風太と同い年の攻略対象も入学している。なるほどね、だから目立っている子が結構いるんだ。多分目立っている子は攻略対象だな。俺も早く攻略対象に会いたい!!子供の時の攻略対象なんて、めっちゃレアだし、絶対可愛いだろ!早く見たいいいい!
「 雨月風太くん 」
「 はい 」
おっ風ちゃんだやっぱ可愛いなー、空、海、しっかり写真撮ってくれよ!
「 今年の1年生めっちゃレベル高くなかった? 」
「 3年生もレベル高い人いるけど、今年はもっと沢山いるね。 」
「 うんうん、特に雨月風太くん?だっけその子が特に可愛かったなー。 」
「 雨月風太くんってさ、あの3年の有名なイケメンの1人の雨月陸くんの弟くんだって」
「 兄弟揃って顔が良いとか、前世でどれだけ得詰んだの!? 」
特に何もしてません。はい。やっぱり風太は一際輝いている。見ろ、女子達の視線が釘付けだ。
「 雨月って、もしかしてあの天使みたいな子が陸の弟くん!? 」
「 そうだろそうだろ!風ちゃんは天使みたいに可愛いんだ!いやむしろ天使より可愛いんだ!てゆうか、信じてなかったのかよ。 」
「 いやー、ごめんごめん。半信半疑だったんだよ、いやぶっちゃけ信じてなかった。ただのブラコンだと思ったんだよ、確かに陸はイケメンだし、弟くんも人気になるほど顔が良いのかなぁーって思って、でも!あそこまでとは思わなかったんだよー、弟くんなら人気通り越して信者が生まれちゃうかも。 」
「 なんの話をしているんだ? 」
夏木くんが女子達の大群から抜け出して、こっちに来た。
「 弟の話をしていたんだよ。それより、大丈夫か?なんか疲れてそうだな。 」
「 大丈夫だ。陸の弟って確か、風太くんっていう子だよな。今すごく有名だよ。 」
「 風ちゃんの話してたら風ちゃんに会いたくなってきたな。風ちゃん、今多分囲まれているだろうな、風ちゃん人見知りだから、助けに行くついでに会いに行くか、よし!そうと決まれば早速風ちゃんに会いに行こう!! 」
「 ついでとか言ってるけど、めっちゃくちゃ会いたそうじゃ〜ん! 」
「 俺も!陸の弟に会いたいぞ! 」
「早く行くぞ2人とも!! 」
そう言って二人の手を引いて、風太のクラス、1年3組に足を進めた。