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第9話 両手に花

     風太の教室につき、風太を探す。


「 うーん、これじゃあ風ちゃんがどこにいるか分からないな。 」


     教室は人でいっぱいになっていた。ほかの教室はすっからかんなのに、風太の教室だけ朝の満員電車みたいになっていた。よく見ると、人が無数の渦巻きのようなっていた。たくさんの人に埋もれていたが、俺にはわかる、あの渦巻きの中心にいるのは風太と攻略対象達だ。何とか人を掻き分け風太の場所まで行く。なんでわかるのかって?それは俺がとてつもなく風太のことが大好きだからだ!見えなくても居場所がわかるのだ!エッヘン!


「 ふうーちゃーん 」


「 お兄ちゃん!たっ……たすけて……。 」


     風太はたくさんの人に押されて質問攻めにあっていた。このままだと、風ちゃんが潰れていまう!


「 待ってて!すぐ助けるよ! 」


「 なぁ、陸のやつなんで風太くんの居場所わかるんだー?俺ちっともわかんなかったよ。 」


「 まぁ、あと二人だけの不思議な力があるんじゃねぇの? 」


     俺は後ろにいる二人を無視して、風太に近づく。


「 よし!もう大丈夫だ!さあっ、おいで 」


「 うん!お兄ちゃん! 」


     風太は俺に向けて両手を広げる、俺はすかさず風太を抱き抱える。


「 ありがとう。お兄ちゃん 」


「 大丈夫?風ちゃん。すごいたくさんの人だね、俺が入学した時は夏木くん目当てで人が集まってたけど、これほどではなかったな。 」


「 あれは俺だけじゃなくて、陸目当てで集まってる人もいたぞ。 」


「 夏木くん!優志! 」


「 すごい人だねー。まるで満員電車みたいだ。 」


「 あっ、それ俺も思った! 」


「 とりあえず避難しないと。 」


「 まっ待って!俺たち( 僕たち )も連れてって! 」


     この声は!


「 どうやら渦巻きの中心にいる人が言ってるみたいだな。 」


     攻略対象達だな!確かにこのまま放っておくのは可哀想だ。よし連れていこう。


「 二人とも!手伝って!夏木くんはあの子、優志はあの子をお願い! 」


     俺は二人に頼み、風太を抱き抱えながら、最後の攻略対象の子に行く。


「 秋斗くん!手! 」


     秋斗くんは、一瞬驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻して、俺が伸ばした手を掴む。俺は手を引き上げ秋斗くんも抱き抱える。


「 よし!二人とも行こう! 」


「「 おう! 」」


     ふと気がついた、今俺は片手に風太、もう片手に秋斗くん、はぁ〜幸せ。両手に花とはこのことをいうのだろう。そう思いながら、二人を抱えて、教室を出た。








     陸達が教室を出た時


「 あー、そんなぁー、今年のイケメンズが連れてかれるー! 」


「 待ってぇー!私もっと聞きたいことが! 


「 てゆうかさ、イケメンズを連れていった人達、イケメンじゃなかった? 」


「 あー!あの人たち、三年の有名な人じゃん! 」


「 どんな人なの?私あんまり知らなくて。 」


「 えぇー!!知らないの!?すっごく有名な三人組なんだよ! 」


「 え〜では、コホン、三人組の推し活グループの一人の私が説明します。 」


「 一人目、青葉夏木様、周りを明るくするムードメーカーで、よく頼られて頼もしく、そして両親は有名な俳優で、とーってもイケメンなの。三人の中で一番人気な方、まさに高嶺の花!。通称  太陽王子。 」


「 二人目、田村優志様、普段はおちゃらけていてみんなを笑わせてくれる人、他の二人ほどイケメンではないけれど、ふとした時に真剣な表情をするのでそのギャップにやられる人がいるの。通称  ギャップ王。 」


「 最後の三人目、雨月陸様、落ち着いた性格で、よく悩み事相談をされている方です。頼りになって、一緒にいると心が落ち着くって有名で、彼氏にしたいランキング1位な方なのです。通称  運命の幸せ王子。 」


「 三人合わせて「 三つの光 」と呼ばれているわ。そして、この三人を崇拝しているグループが、私が入っている「 光観察隊 」よ。あなたたちもぜひ入団を!! 」


「 あはは、これは重症ね。 」


「 遠慮しておくわ。 」







     風太視点


「 はぁっ、はぁっ、ここまで来れば大丈夫だろう。 」


     そう言って僕と秋斗くんを下ろすのは、僕のお兄ちゃん。


「 はぁっ、はぁっ、相変わらず早いなぁ陸は。 」


「 ほんとにな、人二人抱えているのに全然追いつけないなんて、運動不足かなぁー。 」


     お兄ちゃんの友達もやってきた。僕は知っている。あの事件以来、お兄ちゃんは筋トレをするようになった。だから、小学三年生なのに僕と秋斗くんを抱えながら走ることが出来た。あの事件以来、お兄ちゃんのあの太陽みたいな笑顔は見ていない。笑ってはいるけど、どこか心から笑えていないと思う。いつかまたあの太陽みたいな笑顔をみたいな。お兄ちゃんは自慢のお兄ちゃんだ。僕を命を懸けて守ってくれた、かっこいいお兄ちゃんだ!僕はそんなお兄ちゃんのことがだぁーい好きなんだ!









     おまけ


「 おい、言われてるぞ。運命の幸せ王子 」


「 うるせー、そっちこそ言われてるぞ、太陽王子っ。 」


「 俺ってギャップ王って呼ばれてたの?! 知らなかった……。 」


「 てか俺だけなんかあだ名長くない?なんか恥ずかしいし/// 」


「 くふふ、まあまあ、かっこよくていいじゃん。 」


「「「 我ら、三つの光!!………なーんちゃって 」」」


     陸達はそうゆうあだ名で呼ばれていることは知っているが、崇拝されていることには気づいていない。陸達からしたら、少し恥ずかしいあだ名だ。

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