「 あー……、えっと、久しぶりだね。秋斗くん。 」
気まずい。秋斗くんとはあの事件以来会っていない。あの時秋斗くん幼かったから、俺の事忘れてるかな……?
ダメだ考えたら悲しくなってきた。せっかく再会できたんだ!喜ぼう!
「 久しぶり……だね。陸兄、元気だった? 」
覚えてくれてる!!超嬉しい!!
「 元気!元気!ちょー元気!覚えててくれて嬉しい! 」
秋斗くんの顔が曇る。でも一瞬だったのでさほど気にしなかった。
周りを見る。優志と夏木くんに下ろされている攻略対象がいる。
夏木くんと秋斗くん以外の攻略対象の二人だ!やばい、これはっ……とんでもない破壊力だっ!!
「 ぐっ……。 」
やばい抑えないと、可愛すぎて叫びたくなってきた。周りの視線がまずいものになる前に普通に戻らないと。はっ!よくよく考えたら、今この場所に季節風のメンバー揃ってるぅ〜♡やばい、幸せ〜♡やばい語彙力無くす。ちょっと眩しすぎて直視できない。やばい、興奮が抑えられないっっ。俺は興奮した赤い顔を隠すように優志の後ろへまわる。
「 はぁ〜落ち着く。 」
「 おい、俺を避難所にするな! 」
「 うー、ごめん。なんか落ち着かなくて……。 」
「 なんか今日の陸は変だな。 」
「「 あの! 」」
微妙な空気を変えたのは、俺達が助けた二人の攻略対象だった。
「「 助けてくれて、ありがとうございます。 」」
「 いや、いいんだよ。放っておけなかったし。 」
俺は優志の後ろからチラチラと攻略対象の二人の方を見ながら言った。
「 改めまして、俺は雨月陸。そこにいる風太の兄だよ。よろしくね。 」
俺は優志の後ろからでて、自己紹介をする。
「 俺は青葉夏木!よろしくな! 」
「 俺は田村優志。よろしくー! 」
「 僕は、同じクラスの雨月風太。よっ、よろしく。 」
みんなが自己紹介をする。
「 本当にありがとう!僕は桜田春!よろしくね! 」
「 俺は雪宮冬也。よろしく。 」
そうっ!この二人こそが、攻略対象の二人、桜田春( さくらだはる )と雪宮冬也( ゆきみやとうや )なのだ!
桜田春くん、攻略難易度はしたから二番目。ふわふわ系男子で、男の子とお姉さんからの人気が高く、守ってあげたくなる小動物系だ。ピンク色のふわふわとしたやわらかそうな髪の毛、思わず撫でたくなるような愛くるしい顔、丸い大きなピンク色の瞳、小さな体。春くんは攻略対象の中で唯一の受けである。春くんルートだけ、風太の攻めが見れるんだよなぁ〜、受けの可愛い風太もいいけど、攻めのかっこいい風太も好きなんだよなぁ〜。可愛いもの好きで、お花が大好きなんだ!でも、男の子にガチ恋されたことがあって、女の子の怒りを買っちゃって、虐められた悲しい過去があるんだ。それがきっかけで恋愛に恐怖をするようになったけど、可愛すぎる我が弟、風太が可愛いから気になり始めて、そっから恋愛に発展するんだ。あれ、でもまだ入学したばっかりだし何とかなるかもしれない!さすがに全部変えると、色々と原作に遠のくので、やりすぎなことだけはこっそりと止めておこうと思う。
そして、もう一人の攻略対象、雪宮冬也くん、攻略難易度は一番高い、つまり一番攻略が難しいんだ!冬也くんは産まれた時からずっと感情が全く動かない、心という大切なものを無くしたまま産まれてきた子だ。風太がめっちゃ頑張って少しづつ冬也くんの心を取り戻していく。全く感情が動かない自分にずっと笑顔を向けて自分の心を取り戻そうとしてくれる風太に恋をする。でも、冬也くんは感情が無い生活を送ってきたので、恋心というものが分からなくて、でもドキドキして風太と目が合わせられなくなって、風太を避けてしまう。風太はそれを嫌われたと思ってお互いに距離がうまれる。でも風太が他の子と仲良くすると嫉妬をしたり、風太が困っていたらサラッと助けていたり、行動が少しツンデレっぽくなってしまって成長を感じて可愛いんだよなぁ。最終的に冬也くんは恋心を自覚して二人は見事に結ばれることに……。でも風太が冬也くんルートをいかないと、一生心は取り戻されないままなのが悲しいなぁ。
「 ……? 」
やばいっ見すぎた。説明をしている時ずっと二人をぼーっと見てたわ。まずい二人がこっちを見てる、うーんどうしよう。
キーンコーンカーンコーン
「 あぁ!チャイムがなっちゃったね!さあ、早く教室に戻らないとっ、えっとー場所はわかるかな?ごめんねこんな所まで連れてきちゃって、あはは……。 」
「 教室の場所は把握してます。 」
「 大丈夫です!助けてくれてありがとうごさいました。 」
「 そっそっか、それならいいんだよ。ええーっとー、それじゃあ、俺たちはここで、バイバイ二人とも、風太、頑張ってね!よしっ夏木くん、優志、教室へ戻ろう! 」
俺は速やかに三人に別れを告げ教室へと急ぐ。
「 陸のやつ急にどうしたんだ?まぁ三人とも早く教室へ戻った方がいい。さすがにもうあんなに人は居ないだろう。今度困ったことがあったら三年二組に来るといい。俺たちのいる教室だからな。 」
「 いつでも大歓迎だぞー。 」
そう言って二人は陸を追いかけるように早歩きで戻って行った。
「 えっと、元気な人達だったね!風太くん、冬也くん、教室に戻ろう。 」
「 わかった。 」
「 うっうん! 」
三人は教室に戻って行った。
こうして、季節風のメンバーは全員知り合うことができたのだった。