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行け男子たち。生活指導のその先へ~修学旅行大作戦~
行け男子たち。生活指導のその先へ~修学旅行大作戦~
夏坂ナナシ
現実世界青春学園
2025年06月14日
公開日
1.3万字
連載中
【女子の部屋に夜突撃すれば、恋は必ず実る。らしい】 そんな“伝説”にすがり、告白を決意した男子がいた。 2016年11月、三泊四日の沖縄修学旅行。 第二甲府高校2年・サッカー部の松田は、国際通りで引いたおみくじに導かれ、同級生で放送部の中本へ告白を決意する。 ただし、方法は「修学旅行中に女子の部屋へ夜行って告白すれば成功する」という、学校に古くから伝わる謎の恋愛奥義。 だが、当然それを阻むのは教師たち——。 500人の男子生徒を精神的に処刑してきた「山梨のキラーマシーン」こと生徒指導主事・高橋を筆頭に、個性と殺気に満ちた教員陣が松田の前に立ちはだかる。 だが松田にも、戦友がいた。 剣道部の戦術バカ・須賀、バド部のフリップ芸人・向居、中本ファンクラブ会長でボート部の川場、そして将棋部の奇才・中田。 彼らは友情とノリと半ば狂気で、夜のホテルに“作戦”を仕掛けていく。 残されたチャンスは、三晩だけ。 果たして松田の想いは、神と伝統と下心に乗って、中本に届くのか——? バカで必死で、でもなぜかどこか共感できる。 これは、男子高校生たちが“本気”で恋に挑んだ、くだらなくて尊い修学旅行の記録である。

プロローグ

Q:あなたにとって、“男子”とは何ですか?


松田:

はい、ずばり、バカですね。ええ、バカです。

でもね、男だってそのくらいの自覚はあるんですよ。本当に。

本当のバカではないですもん。


ただ、我々男子はあえて、バカをやっているんです。

いやもう、してあげていると言ってもいい。


なぜかって?

そりゃ、世の中に貢献してるからですよ。

だって考えてみてください。

もしこの世が、真面目人間ばっかりだったら?


——つまらないですよ。無機質。ロボットだらけ。

テレビつけても、N◯Kっぽい番組しか流れてこない。


(あ、でも「天◯テレビくん」は好きですよ。ええ、あれは別。めっちゃええ歌、うたってます)


まあとにかく。

要するに、世の中を活気づけてるのは、我々男子であると。

私はそう、強く信じているんです。


だからこそ、修学旅行でも、我々のサービス精神が溢れたんでしょうね。

え?後悔? いや、ないですよ。


男子の本懐を果たせたんですから。


それに……多くの仲間たちが俺のために犠牲になってくれた。

悲しくもあり、でもどこか、友情ってやつを感じましたね。ええ。

見るも無残なやつもいましたが、それでも彼らの表情……どこか満足した様子でしたわ……はい。


だからこそ、今こうして、

生活指導室で、母親を呼び出されて、

修学旅行中の恥ずかしい蛮行を事細かに説明されても——


どこか清々しい気持ちが、残っているんです。


ええ、後悔なんて、きっと、ありません。


……ただひとつだけ。

母さん、お願いだから、その顔だけはしないでください。


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