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第13話 ライバルとの火花


「はーい、リオンのダンジョン配信、今日も絶好調でスタート! チーム『スターライト』、ミリアちゃんとマナミと一緒に、日本平ダンジョン三階西地区でガンガン冒険するよー! 今日はライバル、サキさんの『ブルーファング』と配信競争だ! みんな、応援よろしくね!」


 この前の静岡ダンジョン祭りのトーナメント配信が好評だったのを受けて、ブルーファングと共同で配信企画をすることになったのだ。

 ドローンがヒカリゴケの黄緑色の光に照らされた洞窟内を飛び、僕リオン、ミリア、マナミの三人を映し出す。

 僕の革鎧はオーガ革で強化され、魔鉄のショートソードが腰に光る。

 ミリアも同じくオーガ革鎧に身を包み、魔鉄のショートソードを握りしめ、緊張と興奮が入り混じった表情。

 マナミはマジック・バッグを肩にかけ、ポーターとして軽快に動き回る準備万端だ。


「リオンさん、今日、サキさんたちと配信を競うんですよね? なんかドキドキします!」

『ミリアちゃん、ファイアボルトまた見たい!』

『リオンちゃん、今日もかわいい! サキに負けるな!』

『マナミちゃん、荷物係も輝いてるぞ!』


 ミリアが少し震える声で言う。彼女のファイアボルトの才能がトーナメントで注目を集めたばかりで、視聴者コメントも彼女への期待で盛り上がっている。


「うん、ミリアちゃん、気合入れてくよ! サキさんの配信は派手だけど、スターライトのチームワークで視聴者の心をガッチリ掴むから! マナミ、荷物管理バッチリ頼むね!」

「お兄ちゃん、任せて! ポーションも素材もバッチリ運ぶよ!」


 マナミがマジック・バッグを叩いてニヤリと笑う。

 ダンジョン三階西地区。ヒカリゴケの光が薄暗く、モンスターの気配が漂う中、スターライトは慎重に進む。

 配信競争のルールは単純だ。制限時間内に倒したモンスターの魔石の数と、視聴者からのスパチャ(投げ銭)の金額を競う。

 サキのブルーファングは派手な演出と攻撃的な配信スタイルで視聴者数を伸ばしており、僕のメガネ型端末に映るサキのチャンネルはすでに六千人を超えている。

 対するスターライトは四千人弱。差は開いているが、僕は負ける気はない。


「よーし、まずはブラック・マウスから! ミリアちゃん、準備OK?」

「はい、リオンさん! ファイアボルト、撃ちます!」


 通路の奥から、黒い毛に覆われた大型のネズミ、ブラック・マウスが三匹現れる。

 僕がショートソードを構えて突進し、一匹の動きを封じる。ミリアが後ろからファイアボルトを放ち、炎の弾丸が残りの二匹を焼き払う。マナミが素早く魔石を回収し、マジック・バッグに放り込む。


「ナイス、ミリアちゃん! 視聴者、盛り上がってるよ!」

『ミリアちゃんのファイアボルト、めっちゃカッコいい!』

『スターライト、連携バッチリ!』

『ブラック・マウス、瞬殺!』


 一方、ドローンが捉えたブルーファングの映像では、サキがミスリウムのダガーを振り回し、ハイシープの群れを派手なエフェクトとともに次々と倒していく。

 彼女の配信は、まずサキがダガーで切り込み、仲間の二人が炎や雷のエフェクトと呼ばれる属性魔法を多用する。視聴者コメントが『サキちゃん最高!』『ブルーファング無敵!』で埋まる。

 サキの仲間二人がうまく援護していて、魔石を回収するスピードも速い。


「リオン、置いてかれないように頑張りなよー! 私の視聴者、すでにスパチャでガンガン投げ銭してくれてるから!」


 サキの挑発がドローン越しに聞こえてくる。

 僕はカメラに向かって笑顔で応じる。


「サキさん、投げ銭は嬉しいけど、スターライトはチームワークで勝負! 見てて、絶対追い越すから!」

『リオンちゃん、強気でいいぞ!』

『サキvsリオン、ガチンコ勝負!』

『スターライト、応援してる!』


 視聴者コメントが一気に加速する。

 さらに奥へ進むと、ハイシープの群れが現れる。

 白い毛に覆われた羊型モンスターで、動きは遅いが突進力がある。

 僕はマナミのマジック・バッグから中級治療ポーションを受け取り、ミリアに渡す。


「ミリアちゃん、突進されたらこれ飲んで! 僕が引きつけるから、ファイアボルトで一網打尽だ!」

「了解、リオンさん!」


 僕がハイシープの注意を引き、狭い通路に誘導。

 ミリアがファイアボルトを連発し、炎がハイシープを焼き払う。

 マナミが魔石と毛皮を素早く回収。毛皮はブラック・マウスより高値で取引される素材だ。


「やった! マナミ、ナイス回収! これでスパチャも期待できるね!」

「お兄ちゃん、毛皮めっちゃフワフワ! 売ったらお金持ちだよ!」


 視聴者コメントが『フワフワw』『マナミちゃん、かわいい!』で盛り上がる中、リオンの配信にもスパチャがポツポツ入ってくる。

 しかし、サキの配信は派手な演出でスパチャがガンガン飛び、視聴者数もさらに増えている。

 僕のメガネ型端末に映るブルーファングのスパチャ金額はすでに五十万ptを超えていた。

 スターライトは三十万ptほど。差は縮まらない。


「うー、サキさんの配信、めっちゃ勢いあるね……」

「リオンさん、このままじゃ視聴者数もスパチャも負けちゃいます……!」


 マナミが少し焦った声で言う。ミリアも眉を寄せる。


「大丈夫、ミリアちゃん、マナミ! スターライトはまだ本気出してないよ! 次のモンスターで、絶対目立つパフォーマンスするから!」


 僕がカメラにウィンクすると、視聴者コメントが『リオンちゃん、期待!』『次、ガツンとやっちゃえ!』で埋まる。

 その時、通路の奥から重い足音。キングオーガだ!

 ブロンズ級には手強い相手だが、僕は目を光らせる。


「よし、ミリアちゃん、マナミ、準備! キングオーガを倒して、視聴者をアッと言わせるよ!」


 僕がショートソードを構え、ミリアがファイアボルトの準備をする。マナミはマジック・バッグからいわゆる火炎瓶を取りだして投擲のスタンバイ。

 視聴者コメントが一気に熱を帯びる。


『キングオーガキター!』

『スターライト、ブロンズなのに無謀!?』

『リオンちゃん、ガンバ!』


 一方、サキのブルーファングもキングオーガと対峙しているのがドローン越しに見える。

 サキのダガーが光り、派手な動きでオーガを翻弄。彼女の配信はさらに盛り上がっている。僕は負けじと叫ぶ。


「スターライト、チームワークでいくよ! ミリアちゃん、ファイアボルトで足止め! 僕が仕留める!」


 ミリアのファイアボルトがキングオーガの足元を焼き、僕が跳び込んで剣を振り下ろす。

 果たして、スターライトはブルーファングに追いつけるのか!?


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