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第15話 ディメンジョン・イーターの襲来


「はーい、リオンのダンジョン配信、今日も絶好調でスタート! チーム『スターライト』、ミリアちゃんとマナミと一緒に、日本平ダンジョン三階西地区の奥に突入だよー! みんな、応援よろしくね!」


 ドローンがヒカリゴケの薄暗い光に照らされた洞窟を飛び、僕リオン、ミリア、マナミの三人を映し出す。

 僕のオーガ革鎧の確かな存在感が心強い、魔鉄のショートソードが準備万端。

 ミリアはファイアボルトの魔力を溜め、ショートソードを握りしめる。

 マナミはマジック・バッグを肩にかけ、ポーションと素材回収の準備を整えている。

 視聴者コメントが早くも盛り上がりを見せていた。


『スターライト、今日もかわいい!』

『ライバルのサキちゃんと共同配信!? 激アツ!』

『ミリアちゃん、ファイアボルト連発頼む!』

「リオンさん、サキさんたちと一緒に戦うなんて、ちょっと緊張します……」


 ミリアが少し不安そうに言う。彼女のファイアボルトと剣技が前回の配信でバズり、視聴者からの期待が高まっている。


「大丈夫、ミリアちゃん! サキさんたちも強いけど、スターライトのチームワークは負けないよ! マナミ、荷物管理バッチリ?」

「お兄ちゃん、いつでもOK! ポーションもガッツリ持ってるよ!」


 マナミがマジック・バッグを叩いてニヤリと笑う。

 ダンジョン三階西地区の奥は、モンスターの出現率が高い危険エリア。

 いわゆる東地区方面とは反対側だ。

 僕たちの近くでは、サキのブルーファングも配信を始めていた。

 サキの派手な青い革鎧とミスリウムのダガーが光り、彼女の仲間二人が雷と氷の魔法で援護する姿がドローン越しに見える。

 ルナさんと、サキさんの彼氏トオルさんだ。珍しく、二人とも魔法中心の戦闘スタイルをもつ異例のパーティーだった。

 冒険者のほとんどは剣士なので、魔法使いは少ない。

 身体強化を使える人はそこそこいるもののの、魔法は希少なのだ。

 そんな魔法使いを二人も抱えていて、サキ本人も補助魔法を使えるという。

 サキが僕に近づき、ニヤッと笑う。


「リオン、私の視聴者、八千人超えてるから、置いてかれないように頑張ってよ!」

「サキさん、視聴者数は負けてるけど、スターライトの配信は心で勝負! めっちゃ盛り上げるよ!」


 視聴者コメントが一気に加速。


『リオンちゃんvsサキちゃん、共同配信キター!』

『スターライトとブルーファング、夢のコラボ!』

『ミリアちゃん、マナミちゃん、ガンバ!』


 両チームは並んで進む。通路は狭く、ヒカリゴケの光もまばら。

 モンスターの気配が濃厚に漂う中、突然、甲高い鳴き声が響く。

 白い毛に覆われた大型のネズミ、ディメンジョン・イーターの群れだ! 普段は単体でしか現れないレアモンスターが、十匹以上の群れで現れる異常事態。視聴者コメントが爆発する。


「リオン、ディメンジョン・イーターの群れだ。共闘するぞ」

『共闘キタコレ』

『ディメンジョン・イーターの群れ!? マジ!?』

『これは一攫千金チャンス!』

『リオンちゃん、サキちゃん、絶対逃すな!』

「リオンさん、こんなにいっぱい……!」


 ミリアが目を丸くして呟く。マナミも興奮気味に叫ぶ。

 僕も大金の気配に、さすがに緊張からゴクリと喉を鳴らす。

 一千万、二千万……五千万……全部で何匹だ。まさに当たりクジとはこのことだろう。


「お兄ちゃん、これ全部マジック・バッグの素材じゃん! 大金持ちだよ!」

「よし、ミリアちゃん、マナミ、準備! サキさん、左右で分担して倒すよ!」

「了解、リオン! ブルーファング、右側いくよ!」


 僕とサキが素早く作戦を立て、スターライトは左側、ブルーファングは右側に分かれる。

 僕がショートソードを構え、ディメンジョン・イーターに突進。

 素早い動きで逃げようとするネズミを剣で捉えるが、数が多すぎる。

 ミリアがファイアボルトを放ち、炎が一匹を焼き払う。


「ミリアちゃん、ナイス! もっと撃って!」


 ミリアが連続でファイアボルトを放ち、ディメンジョン・イーターの動きを封じる。一方、サキのダガーが光り、雷魔法の援護で次々とネズミを仕留める。

 ブルーファングの派手な演出が視聴者を沸かせ、コメントが『サキちゃん無敵!』『ブルーファングやばい!』という風に次々流れていく。

 スターライトも負けじと奮闘。マナミがマジック・バッグからマナ・ポーションを取り出し、ミリアに渡す。


「ミリアちゃん、魔力切れそうなら、これ飲んで!」

「マナミは、素材回収頼むよ!」

「任せて、お兄ちゃん! 毛皮、ガンガン集めるよ!」


 マナミが素早く倒されたディメンジョン・イーターの毛皮を回収。

 視聴者コメントがスターライトのチームワークを称賛する。


『スターライト、連携バッチリ!』

『ミリアちゃんのファイアボルト、めっちゃ映える!』

『マナミちゃん、回収スピード速すぎw』


 ディメンジョン・イーターの数は減っていくが、群れの奥からさらに数匹が現れる。サキが叫ぶ。

 ちなみにわりと弱いとされるディメンジョン・イーターだが、実は生きているときもマジック・バッグと同等の能力があり、異次元に食べられてしまうと、大変危険だ。


「リオン、この数、ヤバいね! でも、視聴者盛り上がってるよ! 負けないで!」

「サキさん、こっちも負けないよ! スターライト、フルパワーで行く!」


 僕とミリアが息を合わせ、ファイアボルトと剣技でディメンジョン・イーターを次々と倒す。

 マナミの回収スピードも上がり、マジック・バッグが毛皮でパンパンになっていく。

 視聴者数がスターライトとブルーファング合わせて一万五千人を突破し、スパチャも急上昇。


『リオン&サキの共闘キター!』

『ディメンジョン・イーター祭り!』

『スターライト、ブルーファング、どっちも最高!』


 戦いは佳境に。僕とサキの共闘は続くが、ディメンジョン・イーターの群れはまだ残っている。

 次話で決着か!?


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