「はーい、リオンのダンジョン配信、今日も絶好調でスタート？　チーム『スターライト』、今日はちょっと特別なミッションだよ？　ミリアちゃんの兄、斎木さんの想いを継ぐため、ギルドで大事な買い物をするよ？　みんな、応援よろしくね！」

　ドローンが冒険者ギルド日本平支部の賑やかなロビーを映し出す。

　木造のカウンターには冒険者たちが集まり、トカゲ丼や串焼きを頬張り、談笑している。

　視聴者コメントがメガネ型端末に流れ始める。

『スターライト、真相究明ガンバ！』

『ミリアちゃんの魔法剣、めっちゃカッコよかった！』

『リオンちゃん、今日もかわいいぞ！』

　ミリアが隣で少し緊張した顔を見せる。

　彼女のファイアボルトと新たに覚醒した魔法剣はクリスタル・オーガ戦で大活躍し、視聴者数を一気に一万七千人に押し上げた。

　マナミはマジック・バッグを肩にかけ、いつものように元気いっぱいだ。

「リオンさん、今日は何を買うんですか？　兄のミスリウム・ソードの破片を見つけてから、なんか胸がざわついて……」

　ミリアがミスリウム・ソードを握りしめながら呟く。僕は彼女の肩に軽く手を置き、微笑む。

「ミリアちゃん、今日は斎木さんと同じ型のミスリウム・ソードを買うよ。君にプレゼント？　兄の想いをしっかり継いで、スターライトで一緒に真相を暴こう！」

　ミリアの目が一瞬キラリと光り、すぐに潤む。

「リオンさん……そんな、いいんですか？　純魔銀のミスリウム・ソードって、めっちゃ高いですよね？」

　マナミが串焼きを頬張りながらニヤリと割り込む。

「お兄ちゃん、太っ腹？　ミリアちゃん、兄貴の剣でガンガン戦えるね？　ポーターとして、私も応援しまくるよ！」

『リオンちゃん、かっこよすぎ！』

『ミリアちゃん、泣ける？　斎木さんの想い、継いで！』

『スターライト、絆最高！』

「それにほら、魔法剣には純魔銀のほうが適してるから」

　視聴者コメントが一気に加速する。僕たちはギルドの武器庫へ向かい、受付嬢の山田マリコさんが猫耳をピクピクさせながら迎えてくれる。

「リオンさん、ミリアちゃん、ミスリウム・ソードの購入ですよね？　斎木さんと同じ型、用意してありますよ。ほら、これ！」

　マリコさんがカウンターの奥から、輝くミスリウム・ソードを取り出す。

　刃にはまだ記名がなく、斎木直樹の剣と瓜二つだ。

　価格は三百万DP。

　ディメンジョン・イーターの戦利品で得た資金を投入して、まあなんとか買えるくらい。

「マリコさん、これ、ミリアちゃんに渡したい。斎木さんの想いを継ぐために！」

　購入を決める。ギルドカードからお支払いだ。

　ミリアが剣を受け取り、両手で握りしめる。彼女の目から涙が一滴こぼれる。

「リオンさん、ありがとう……兄の剣、持ってるだけで、なんか兄が近くにいる気がします。私、絶対に兄の名誉を守る。改革派の闇、暴いてみせる！」

　マナミがポーションをバッグから取り出し、冗談っぽく振る。

「ミリアちゃん、泣いてる場合じゃないよ？　その剣でガンガン戦って、スターライトの視聴者数、サキさん超えよう！」

『ミリアちゃん、めっちゃ熱い！』

『スターライト、真相究明ガンバ！』

『リオンちゃん、太っ腹すぎる！』

　視聴者数が一万八千人に迫る中、冒険者ギルド日本平支部のカウンターでマリコさんが声を潜める。

「リオンさん、ミリアちゃん、実は新しい情報が。斎木さんがソロで潜った任務、マギテック社が改革派と組んで、わざと危険なルートに送り込んだって噂が……。証拠はないけど、ミスリウム・ソードの破片がその鍵になるかも」

　ミリアが剣を握りしめ、決意のこもった声で言う。

「マリコさん、ありがとう。兄が戦った理由、私、絶対突き止める。リオンさん、マナミちゃん、一緒に戦ってください！」

「もちろん、ミリアちゃん。スターライトは一つだよ？　視聴者のみんな、応援よろしくね！」

『スターライト、絆やばい！』

『マギテック、絶対怪しい？　暴け！』

「というわけで、今日の配信はここまで。また今度！」

『乙』

『じゃあな』

　配信を終了し、ギルドの建物を出て、僕たちは次の冒険に備える。

　ミリアの新しいミスリウム・ソードが、太陽の光を反射してキラリの輝く。

　斎木さんの想いは、この剣に宿っている……。