日本平入り口の複合商店で、しばらく物色していたところ、サキがブルーファングの仲間と共にやってくる。
彼女の表情はいつもより真剣に見えた。
「リオン、ミリア、マギテックの契約、ちょっとヤバいことになってきた。クリスタル・オーガの魔石を高値で買い取る話、改革派の幹部が絡んでるらしいんだ」
ミリアが剣を握りしめる。
「サキさん、改革派が兄の死の真相を隠蔽してるってことですか? そんなの、許せない!」
「うん、ミリアちゃん。マギテックと改革派、なんか深い繋がりがあるっぽい。ブルーファングも契約してるから、内部から探ってみるけど……正直、圧力感じてる」
僕がサキの手を握る。
「サキさん、ブルーファングがマギテック側から情報集めてくれるなら、スターライトは配信で世論を動かすよ? 一緒に斎木さんの真相を暴こう!」
ミリアが新しいミスリウム・ソードを掲げる。
「兄の想い、この剣に宿ってる。私、ブロンズ級昇格目指して、もっと強くなる。リオンさん、サキさん、一緒に戦ってください!」
「みんな、スターライトとブルーファング、ルミナスも加えて、斎木さんの想いを絶対届けるよ。マギテックの癒着、改革派の闇、全部暴いてみせる!」
しかし今日は剣を買っただけだ、少し併設の訓練場で素振りをする。
「この剣、すごい。自然と手になじむ」
「よかったね」
「はいっ! とってもうれしいです」
そこへ山田マリコさんが猫耳をピクピクさせながら近づいてくる。
「改革派の幹部が、マギテックに斎木さんの任務の記録を隠すように圧力かけてるって……証拠はないけど、気をつけてくださいね」
「なるほど、今度は証拠隠滅に動いているのか」
「そのようです」
「なかなか、腹黒い」
僕たちは訓練を切り上げ、気分転換に静岡市街地へ向かうことにした。
◇
バスに揺られて静岡市街地に到着。僕たちスターライトとサキのブルーファングは、街の喧騒を抜けて喫茶店「シルフィード」へ。
木の温もりが感じられる店内は、冒険者や地元民で賑わっている。窓際の席に座る。
店員さんがメニューを持ってくると、ミリアが目を輝かせる。
「リオンさん、プリンある! コーヒーと一緒に注文しちゃおうかな!」
「いいね、ミリアちゃん! 僕もコーヒーとプリンで! マナミ、サキさん、トオルさん、ルナさん、何にする?」
マナミがメニューを覗き込み、ニヤリ。
「お兄ちゃん、私もプリン! あとアイスコーヒー! ポーターだって甘いもの大好きだよ!」
「じゃあ、私もコーヒーとプリンで。トオルとルナも同じでいいよね?」
「了解、コーヒーとプリンで統一だ!」
サキが笑いながら注文する。
トオルが頷き、ルナがクールに微笑む。
注文を終えると、店の奥からプルプルと揺れるブルー・スライムを連れた女性が現れる。
彼女はスライムを膝に乗せ、楽しそうにスプーンでプリンを食べさせている。
スライムがぷるんと揺れて喜ぶ姿に、ミリアが目を丸くする。
「わ、ブルー・スライム! めっちゃかわいい!」
女性が気づいて笑顔で振り返る。
「プリン大好きで、いつも一緒に食べてるの!」
マナミが興奮気味に言う。
「スライム、めっちゃ癒し系! 私もいつかテイムしてみたいな!」
コーヒーとプリンが運ばれてくると、みんなでスプーンを手に談笑が始まる。
サキがスライムの話題から魔道具の話に切り替える。
「そういえば、リオン、ミリアの新しいミスリウム・ソード、めっちゃかっこよかったよね。マギテックの装備も強いけど、純魔銀の魔道具ってやっぱり特別だよな」
ミリアがプリンを頬張りながら頷く。
「うん、サキさん。この剣、兄のと同じ型だから、持ってるだけで魔力がスッと流れる感じ。魔法剣ももっと安定して出せるよう練習してるんだ!」
僕がコーヒーをすすりながら言う。
「ミスリウムって、魔力伝導率がバッチリだから、魔法剣には最適だよね。サキさんのレッド・メタルのダガーも、属性魔法との相性いいでしょ?」
「うん、ダガーのレッド・メタル、雷と氷の魔法を増幅してくれる。マギテックの技術だけど……なんか、最近その裏側が気になるんだよね」
「マギテックの魔道具、性能はいいけど、契約の条件が厳しい。配信のルート制限とか、変な圧力とか……」
ルナがクールに言う。
トオルがプリンを食べながら続ける。
「でも、サキがマギテック側から情報探るって決めたから、ブルーファングも本気で動くよ。斎木さんの真相、絶対突き止める!」
マナミがスライムをチラ見しながら言う。
「魔道具ってさ、ダンジョン産の素材でできてるよね。ディメンジョン・イーターの革で作ったマジック・バッグ、ほんと便利! ポーションも火炎瓶もガッツリ入るし!」
ブルー・スライムの女性が笑いながら話に加わる。
「マジック・バッグ、いいよね! 私も欲しいなぁ。スライムのエサとか魔石とかバッグに入れてるのよ。この子、魔石パクパク食べるから、すぐバッグが軽くなるの! たくさん持ち運べたら超便利ね」
ミリアがスライムに目を奪われながら言う。
「スライム、ほんと癒し系……でも、私、兄の想いを継ぐために、もっと戦うよ。ブロンズ級昇格、絶対目指す!」
コーヒーの香りとプリンの甘さに包まれながら、僕たちは笑顔で談笑を続けた。
ブルー・スライムがぷるんと揺れるたびに、店内に笑い声が響く。
冒険の緊張を忘れる、ほのぼのしたひととき。
だけど、心の奥では、斎木さんの想いとマギテックの闇を暴く決意が、静かに燃えていた。