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第22話  相性 No.22ー12

 簡単に挨拶すると、私は奥の部屋に通された。


「いつも、いつも理恵がお世話になって。

ありがとうね。

理恵はいずみさんがいてくれなかったら、どうなっていたかしれないわ。

猪突猛進タイプの娘だから。」


 その部屋は、例えると、中小企業の社長室や、重役室のような感じ。


本革の応接セット、同じものが3セット、並んでいる。会議でもするのだろうか。


 店より広い。端にはパソコンやコピー、電話、ファックス、書類が入っているのか、ステンレスではなく、木製のキャビネットも。


又、折り畳み式の椅子も折り畳んだ状態で随分壁に立て掛けられていて。



ステキなバーテンダーさんは、理恵の従兄だった。

本業は画家。主にヨーロッパで活躍しているとか。

純粋な油絵で、女性の肖像画ばかりを描いているとか。

日本で依頼があり、帰国していて、暇な時は、


「おたすけばあ」を手伝いにくるとか。


私は、だから美しいのだ、画家さんて、イメージにピッタリ、こんな素敵な人の描く絵のモデルになる人は幸せだろうなぁと、ぼんやり考えていた。


名前は大介、だいちゃんと呼んでいる。


確かに、確かに、理恵の母親に顔が似ている。大介さんのお母さんは、理恵のお母さんのお姉さんとか。


しかし、そこで、驚いたのは、


「だいちゃんは、女性の肖像画専門だけど、ヌード専門なのよ。

写真だとゴマカシがきかないでしょう、でも、絵だったら、いくらでも、美しく描ける。

だいちゃんは、それで成功してるのよね。

それに、、きっと、だいちゃんの事だから、いろいろお金持ちのマダムにサービスしてるのよね。」


 そのような理恵の言葉に、私はグサッと胸を刺されたような感じで、だいたいが、私は馬鹿なので、天然なので、


「えー? 大介さんは、ヌードを? 


 あの、サービスって? 


 あの、お金持ちのマダムにサービスって? 


 私、いや! 大介さんが、そんな、そんな、、私、、私、、大介さんのような素敵なひと、


あの、、結婚する前に知りたかった。」


 ふと、口にしてしまったのです。

その場には、理恵も理恵のお母さんも、勿論、大介さんもいるのに。


言ってしまってから、とても恥ずかしくなりましたが、3人とも、何も言わないので、私は追い討ちをかけるように。


「私、生まれて初めて、ときめいたんです。大介さんに、大介さんを見て。あ、あ、ごめんなさい。」









       (つづく)

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