昔の無尽。学校で習った記憶はある。
相互扶助の考えで、仲間が集い、お金を出し合い、積み立てる。
順番に、ないしは、仲間でお金に困ると、積み立てられたお金から援助するような組織。
「おたすけばあ」は、その無尽から始まったらしい。
その集まる場所がこのお店の場所だった。
明治、大正、昭和、平成、令和と、その流れを受け継ぎつつ、今は積み立てるとかではなく、メンバーは、それぞれの世界で大御所であり。
メンバー内というより、外部の人で、助けを必要な人を援助しているとか。
つまり、理恵は、そのバックヤードの仕事をしているらしい。
理恵は私からのメールを母親に見せ、母親は組織のネットワークで、すぐ、私の夫の調査を始めたとか。
私は、いつものことながら、宜しくお願いしますと、理恵の母親に母親の組織に、離婚の件は任せることにした。
この数時間だけでも、夫の調査は、かなり進み、所謂、頭の良いエリートではあるけれど、学生時代から、無類の女好きで。それも、年上専門とか。
理恵も理恵のお母さんも、別れたほうがいい、このタイプは、繰り返す、それに、自分の給与は生活費に一切出さないのも問題有り、ケチなのね。
いずみちゃんの財産、すっかり計算してるのよと。
そして、理恵のお母さんは、
「今夜は、大介のところで泊まりなさい。
ご主人への連絡は任せて、理恵のとこに来たことにするわね。
いずみちゃん、大介に可愛がってもらって、自分が不感症ではないという自信を持ちなさい。
私が思うのは、抱かれて感じるって、大切なことよ。まして、いずみちゃんのように美しい人が。
知るとね、世界は変わる。
もう離婚決めたのよ、今夜は少し飲んで、大介に任せて、、ね。」
あれ? あれ? 考える暇などなかった。
私は、大介さんに、ときめいていたし。
大介さんがトレーに載せて持ってきてくれた、紅いカクテル、甘く、少し、カシスの香りのするカクテルを飲み干すと、体から力が抜けた。
気が付いた時、私は見慣れない部屋の大きな、私のマンションの寝室のダブルベッドより大きい、たぶん、キングサイズのベッドに寝かされていた。
横には、大介さんの顔があり。
そっと、自分の体に触れると、私は何も身に着けていなかった。スキャンティさえもはいていなかった。
(つづく)