深山の目には、私の話を聞いているうちに、ますます閃く。
これが太陽の光なのだろうか?
揺るがぬ意志!
決断力!
そして、魅力!
かつてのか弱くて誰もが庇いたくなる子ウサギのような面影は、完全に消えていた!
それでも、深山は忠告を忘れなかった。
「だが忘れないで。いくら僕たちの取引で星野が君をもう苦しめないとしても、小林夜江がいる。彼女は、君を殺したいほど憎んでいるんだ。」
私は力を振り絞って腕を支えた。
なんとか体を起こし、深山の目を見据えて、はっきりと宣言した。
「誰も、私の復讐計画を止めることはできない!」
深山は、私の瞳の中に燃え上がる炎を見て、面白そうに口角を上げた。
その口元がほんのりと笑みを浮かべる。
「後輩ちゃん、僕はどう協力すればいい?」
私は返事をしようとした。
しかし、不意に胸のあたりがスースーする気がして、思わず視線を落とすと――
なんと、上半身は何の覆いもなく、むき出しのまま空気にさらされていた!!?
さっき勢いよく体を起こして話し込んでいるうち、あの可愛いレースブラジャーのストラップが外れてしまった!
頭が真っ白になった。
次の瞬間、とっさに胸を押さえ、穴があったら入りたいほど恥ずかしくて、声も次第に小さくなっていた。
「先輩……服を……用意してもらえないか?」
深山はぎこちなく視線を外し、すぐに新しい病衣を持ってきてくれた。
それと、もう一着のチューブトップまでも!!!
私は思わず口元を何度も引きつらせた。
そんなに、私のレース下着が嫌だったの!?
服を受け取り、深山にぎこちなく笑ってみせる。
「先輩、本当に、ありがとうね…」
深山はベッドの横のカーテンを引き、少し掠れた声で言った。
「早く着替えて。」
カーテン越しに、深山のすらりとしたシルエットがはっきり見える。
凛々しくて上品……まさに完璧な貴公子。
数呼吸してから、私は視線を外し、服を着替えた。
妊娠してから、まだお腹はそれほど目立たないけど、確実にどんどん大きくなってきた。
さっき着ていたレース下着は少しきつくなっていたが、病院で矢尾秘書に新しい下着を頼むのも気が引けていた。
けれど、深山が用意してくれた下着は驚くほどピッタリで、胸元も苦しくなかった。
思わずボソリと呟く。
「先輩の目……まるで定規みたい。」
毎回、深山に会うときは、妊娠の私はずっとゆったりした服を着ていたはずなのに、しっかりと見抜かれていた……私の本質を。
カーテン越しの影を見つめ、指先がつい服の端を握りしめる。
「先輩は、誰にも、こうやって優しいの?」
深山は「シャッ」と音を立ててカーテンを開ける。
そして、底知れぬ深さを湛えた桃花眼と視線が合った。
人を溺れさせるような柔らかな声が聞こえた。
「もちろん、違うよ。」
彼は一歩近づき、俯いて私の頬に寄せる。
「だって、後輩ちゃんほど不運な人はいないからね。」
グっ……何の準備もなく、心に刺さる一言!
私は深山の顔を無情にも頬から押しのけた。
「先輩、どこかいいお寺とか知らないか?今なら素直に従うから、絶対お参りに行く!」
深山は穏やかに私に道を示してくれた。
「後輩ちゃん、時間があるなら龍泉寺に行ってみるといい。」
龍泉寺ね、分かった!
絶対お参りして、この不運を祓ってやる!
―――
深山がここにいること知られてはいけないので、私は先に医療室を出ることにした。
傷はすべて処置され、新しい病衣に着替えて、今は生き返ったような気分だった。
ただ一つ問題なのは、視界がまだ完全に回復していないこと。
深山によれば、脳震盪の後遺症で、薬を飲んで安静にしていれば回復するとのこと。
でも今の私には本当に不便で、強度の近眼と変わらない。
私はゆっくりと自分の病室に向かって歩き、ただ帰って眠りたいと思っていた。
当然、背後に怪しげな人影がついてきていることなど、まったく気づかなかった。
エレベーターに着こうとしたその時、その人影が突然飛びかかってきた。片手で私の腰を掴み、もう一方の手で湿った布を口に押し当ててきた。
最初は、また深山がふざけて脅かしにきたのかと思った。
しかし、だんだんと違和感に気付く。
相手の匂いは、深山のものとはまったく違った。
この男からは、吐き気を催すほどのタバコの臭いがした。
私は必死に抵抗したが、男が力ずくで私を無人の部屋に引きずり込み、床に叩きつけた。
思わず声を上げようとしたが、そのとき初めて気づいた。
喉がひどく痛み、どうしても声が出せない。ただ「ううう」としか低い呻き声が出ない。
さっき吸わされた布の薬剤が、喉を傷つけたのだ!
慌てて這い上がり、警戒しながら男を睨む。
男はいやらしく笑いながら、一歩一歩私に近づいてきた。
「へへ、まさか俺にも宮崎お嬢さんの味をじっくり味わう機会が来るなんてな。」
その言葉とともに、男は貪欲に私に飛びかかってきた。
必死に逃れようともがいたが、到底この気持ち悪い男に敵うはずもなく、どうしても押さえつけから逃れられなかった。
男の力はますます増長し、タバコ臭い息を私の顔に吹きかけながら言った。
「さあ、たっぷりサービスしてやるよ、宮崎さま!」
―――
夜の帳が下りた。
星野はちょうどオフィスを出たところで、携帯が鳴った。
眉をひそめて通話に出ると、小林夜江のすすり泣きが聞こえた。
「侑二、夕飯に宮崎さんを誘ったの。でも宮崎さんに“本妻の私が卑しい愛人と一緒に食事すると思う?”って言われて、彼女部屋を出たきり、戻ってこないの……
どうしよう、探してみたがどこにもいない。」
星野の顔色が一変した。
「あの女、また失踪か!」
口では悪態をつきながらも、足はどんどん速くなり、駐車場に着くと、車を飛ばして再び病院に向かった。
病院の下に着くと、
車を降りたばかりの星野侑二のもとへ、小林は草壁に支えられ、涙に濡れた顔で駆け寄ってきた。
「侑二、全部私が悪いの!まさか宮崎さんがあんなに怒りっぽいなんて……」
星野は冷徹な顔で言い放った。
「この件は、君には何の関係もない。」
そして、人をぞっとさせる空気をまといながら矢尾のもとに歩み寄り、容赦なく叱責した。
「一人の女を見張ってるだけだろうが、それすら見失うとはな!」
矢尾は理不尽に感じ、弁解した。
「宮崎様はずっと小林様の病室にいると思って……でも、ボディガードたちは宮崎様がこのビルから出たのを見てません。きっとまだこの中にいるはずです!」
星野は、灯りのともる病棟を見上げ、歯ぎしりするほどの低い声で呟いた。
「俺が本気で足を折らないとでも思ってるのか?」
星野は病棟の中へと足を踏み入れ、人探しの隊列に加わった。
一層一層、捜してやる。あの女が逃げきれるはずがない!
ついに――
星野は小林が入院しているそのフロアにたどり着いた。
小林は彼の後ろについて、小声で推測した。
「もしかして、宮崎さんはずっとこのフロアに隠れていたの?」
星野は暗い顔のまま、廊下をたどって部屋を一つずつ見回っていく。
廊下の端に近づいたとき――
ある部屋の中から、かすかな女性のあえぎ声が漏れ聞こえてきた……