さっき、星野侑二は本当に心底から怖かったんだ。
怖かった――愛する人を、永遠に失ってしまうことが!
今、彼の愛する人は、まだ生きている。
それはつまり、まだ償うチャンスがあるということだ!
星野は身をかがめ、そっと私の額にキスを落とし、低く囁いて約束をくれた。
「これからは、必ず君を大切に愛するから。」
ジェイムズは複雑な表情を浮かべ、思わず感嘆した。
「これで死なないなんて、本当に運がいいな!」
ジョン医師も同じく驚いた様子で言った。
「そうだな、彼女はまさに幸運だ。あれだけ銃弾が飛び交う中で、腕と足だけの怪我ですんだなんて。」
しかも、腕の二発は、どうやら前に撃たれたものらしい。
つまり、オスクーロ会のメンバーたちの激しい銃撃の中で、足に一発当たっただけってことだ。
ジェイムズは嫌悪を隠さず目を細めた。
「そう考えると、オスクーロ会は実にザコだな!」
—――
青野千里はそのとき、大声で嘆いた。
「深山さま、オスクーロ会の人間だって、全員がザコってわけじゃないですよ!僕は、本当に全力を尽くしたんです!」
深山彰人にはいつもの優しさは微塵もなく、無慈悲に青野にそう命じた。
「キャンプへ行って、一年再訓練だ!」
青野はその罰を聞いて、心底絶望した。
彼もまた、宮崎麻奈がソフィアに拉致された現場の観客の一人だった。
ただし、彼は任務を持っている観客だ。
その任務とは、オスクーロのメンバーが宮崎さんに発砲したとき、彼女を守ることだった。
青野は我慢できず、さらに自分の弁護をしようとする。
「深山さま、この世に僕より腕の立つガンマンは絶対にいませんよ!」
現場には少なくとも十数発の弾丸が、宮崎さんを狙っていた。
なのに、結局彼女の足に一発当たっただけなのは、全部自分が必死に、彼女に当たりそうな弾丸を撃ち落としたからだ!
そう!
それは彼が一発一発、強引に弾道をずらしたから!
深山は暗い桃花眼を向け、言葉を区切りながら言った。
「俺の命令は――一発たりとも、彼女を傷つけさせないことだ。」
青野はもう言い返せなかった。
確かに、一発を取り逃がしてしまい、その弾丸が宮崎さんの足に当たったのだ。
青野はため息をついた。
「全く、宮崎様の運ってどうなってるんだ……」
本来なら、彼女はジョイスを利用して、星野侑二とエリクソン・メディチの間に罠を仕掛け、二人の連携を阻止するつもりだった。
だが結局、災難に遭ったのは彼女自身だった。
もしボスが、彼女がソフィアに連れ去られたと知った瞬間、すぐに手を打っていなければ、宮崎さんはとっくに命を落としていたはずだ。
それでも、青野は彼女を心から尊敬していた。
「宮崎様って本当に肝が据わってる。復讐のためなら、自分の命すら惜しまないなんて!」
深山の瞳は一層深く沈む。
まさか、予想外の事態で、後輩ちゃんが捨て身で、自分と子どもの命をも駆け引きにして、星野侑二とエリクソンを分断しようとするとは思わなかった。
彼女は本当に、命がけだった。
深山の中に、抑えきれない怒りが湧き上がる。
「彼女は、俺という協力者がいることを忘れてるのか!ソフィアに捕まっても、俺なら助け出す方法はいくらでもある。もっと時間をかけて冷静に考えればよかったのに!」
うちの後輩ちゃん、どうしてこんなに無鉄砲なんだ!!!
青野は思わずかばった。
「たぶん、宮崎様はボスを巻き込みたくなかったんですよ。」
その一言は、まるでハンマーで打ちつけられたように、深山の胸を強く締め付け、息が詰まりそうになった。
彼はずっと、彼女を利用してきた。
なのに、彼女は彼を善人だと思い、必死に彼を巻き込まないように一人で背負う。
深山は顔を曇らせ、苦しそうに呟いた。
「本当に、馬鹿な子だな……」
青野は横目で深山をちらりと見て、小声でつぶやいた。
「でもボス、前は口を開けば『宮崎様はただの駒だ』って言ってたじゃないですか? でも今は、どう見ても特別に気にかけてるようにしか思えませんよ?」
今日の現場にはあれだけ大勢の人がいて、たくさんの目があった。
それでもボスは迷うことなく、「宮崎麻奈の命を守れ」と命じた。
一度でもボスの正体がバレたら、間違いなくあの連中に目を付けられる。
あの連中の残忍さを考えれば、必ずボスを殺そうとするだろう。
深山は青野のつぶやきを聞き、しばし沈黙に沈んだ。
自分でも、どうしてあんなに衝動的になったのか分からなかった。
だが、あのとき心の中には、たった一つの声しかなかった。
絶対に、後輩ちゃんを危険に晒させない!!!
さもなければ、彼は一生後悔するだろう。
長い沈黙の後――
深山は心の中の感情を押し殺し、淡々と言った。
「今の彼女には、俺が助けるだけの価値があるからだ。」
そうだ!
きっと、それだけの理由だ!
自分が重視しているのは、後輩ちゃんの価値――!!
深山は青野をちらりと見た。
「星野の背後に隠れていた連中、今回やっと姿を現したじゃないか?」
青野の表情は一瞬で引き締まった。
「まさか、『ディヴィーナ』があの連中のものだったなんて……!」
深山は驚いた様子もなく、
「あいつらは、あちこちで自分の勢力を育てるのが好きだからな。でも、一つでも星野侑二のために表に出れば、二つ目も三つ目も表に出せる……」
青野は理解できずにいた。「なぜ、あんなに星野侑二に執着するんですか?」
深山は口元を引き締めた。「星野侑二は、あの人の唯一の血筋だからな。」
星野侑二を見張っていれば、闇に潜むネズミどもを全部炙り出せる。
やはり自分のやり方は、最初から間違っていなかった!
だが、星野が順風満帆なら、あいつらの力を使うはずもない。
だから、状況を打破する鍵は、やはり後輩ちゃんにある。
深山は青野に尋ねた。「病院の様子は?」
「宮崎様の命に別状はありません。病院で救急処置を受ければ、きっと助かるでしょう。」
青野は少し間をおき、不安そうに続けた。
「ただ、彼女の子どもが無事かどうか……それは宮崎様にとって命の次に大事なものですよ!」
深山の表情はさらに沈んだ。
もし子どもがダメになったら、後輩ちゃんにとっては耐え難い打撃だ。
彼女はきっと、持ちこたえられない。
深山は急に立ち上がり、命じた。
「すぐに手配しろ。俺は後輩ちゃんに会いたい。」
青野は困った顔で、思わず忠告した。
「ボス、ここはイタリアですよ、神川県じゃありません!」
自分たちの縄張りじゃないのに、どうやって好き勝手に動けるというのか!
―――
病室の機械が「ピーピー」と警告音を鳴らし続ける中――
星野は真っ赤な目で、ジョン医師を睨みつけた。
「今、なんて言った?」
しゃがれた声には、果てしない苦痛が滲んでいる。
ジョン医師は覚悟を決めて、もう一度繰り返した。
「患者さんは一命をとりとめましたが、体の状態は極めて悪く、すべての数値が警戒レベルを下回っています。妊娠を継続するのは到底無理です……今は、赤ちゃんを諦めて中絶手術をすることをお勧めします。」