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第2話 配信とダンジョンが見つかった!? 




  サングラスかけた、うちのじいちゃんかっこいい! 

 まだ腰は曲がってないし、白髪だけどまだ禿げてないし、なかなかのイケているじい様イケじいちゃんだ。


『カッコイイ――!』

『筋肉すごい』

 『何者?』


 「じいちゃん、カッコイイってコメント来てるよ!」

 じいちゃんに、カッコイイと伝えるとちょっと照れたようだ。サングラスを直すしぐさをした。

 「そ、そうか……」


『照れたお顔が、可愛いですね!』

『いいキャラしてる』『推します!』

 ファンができた? なんにせよ、今の所嫌なコメは来てない。


 「おや?」

 じいちゃんがかまで雑草を刈り採りながら進んで行くと、突然進むのをやめた。

 「何かあった?」

 俺が話しかけると、じいちゃんは屈んで何かを拾った。


 「これはたぶん、水晶じゃ」

 きらりと光る透明な結晶は、手のひらに乗るほどの太さ。高さ三十センチほどの五角形の柱で、途中で半分に割れたような感じだった。

 「こっちにもある」

 じいちゃんは少し移動して、生い茂った雑草を刈った。


『あれも水晶じゃない?』

 『もう片方も割れている感じだな』

 コメを見て、雑草の刈られた方を見ると水晶の柱が土に埋まっていた。もう片方も割れている。


『何かのじゃ、ないよね?』

『やば!』

 『それだったらヤバいなw』


 「……」

 俺はコメントを見て、じいちゃんの方を見た。目の前は二メートルほど土が盛り上がっていて、たくさん雑草が生えている。じいちゃんは雑草を一生懸命に鎌で刈っていた。

 「おい! 何か穴があるぞ!」

 じいちゃんが俺の方へ振り向いて、話しかけてきた。雑草が刈られて無くなった所に、近寄って見てみると確かにが見えていた。


『え!? マジ!?』

 『穴!?』

 『昔の防空壕かしら……?』

『中、少しのぞいて――』

 『何の穴だろう?』

『wktk』

 『危ないよ――』

 いきなりコメが増えてきた。


 「じいちゃん、それ防空壕じゃないかってコメがきているけど……」

 じいちゃんは「それはない。防空壕を作ったなんて聞いてないし、こんな田舎に飛行機は来てない」と言った。確かに。この辺は戦争の被害はなかったはず。


 「……中は広そうだ。奥から風が来ているから、やばいガスとか、なさそうだ」

 そう言ってじいちゃんは穴の中へ、入っていった。

 「ちょっと! じいちゃん、危ないよ!」


『危険じゃない? 大丈夫!?』

 『やめといたほうがいい!!』

 『小鳥を先に飛ばさないと!』

 『勇者w』

いつの間にか視聴者さんが増えていた。今までで最高人数の視聴者さんだ。登録人数も増えた。


 じいちゃんは一人で先に進んで行った。

 「もう! 俺も中へ入る!」

 じいちゃんを追って中へ入ると、なぜか少し明るい。

 「え……? なんか明るい?」


『ヒカリゴケか?』

 『不思議だ』

『これ、人工的なやつじゃね?』

 『引き返した方がいい』

『先、進んでw』


 『危ないようだったら、すぐ引き返す。もしかしたら俺のご先祖さんが作ったものかもしれないし……探索してみるよ』

 俺は観てくれている視聴者さん達へ話しかけた。

『お――! 無理すんなよ!』

『気をつけて進め』

 『大丈夫?』

 『匂いのないガスがあるから気をつけて』

 『ドキドキするw』

  :

  :


 すごい速さで流れていくコメントを見るのは初めてだった。心配している人もいるので慎重に行く。中は洞窟のようで岩壁は確かに、人工的に掘られていた。

『高さ二メートル、横も二メートルくらいかな? 結構奥まで続いている』

 じいちゃんは先に行ってしまったので、速足で追いかけた。


 配信しながら歩いて、それから速足で奥へ行くとじいちゃんがいた。

 「あ、じいちゃんがいました!」

 じいちゃんの姿を見つけてホッとした。


 『じいちゃんと孫、いいね』

 『仲良し』

 『俺の死んだじいちゃん思い出した』

『じいちゃんと孫の夏休み』

 『田舎の夏、いいよね……』


 じいちゃんが壁に向かって立っていた。そこには岩のテーブルがあって古い紙を束ねた本らしきものが置いてあった。

 「なに……、それ?」

 よく見ると壁に、何か書かれた掛け軸のようなものが飾られてあった。これは映さない方が良いかな……。


『なんだ?』

 『やっぱり人工物だったか……』

『野菜とか保存していたおいた洞窟とか?』

 『変なとこじゃなくて良かった』

 『ドキドキしたけど、ご先祖さまの洞窟か……』


 じいちゃんはその古い本を読んだらしい。眉間にしわを寄せていた。

 俺は様子のおかしいじいちゃんに、話しかけようとした。するとじいちゃんは突然、岩壁を押した。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

 岩壁の一部が扉のように、横へ開いた!


 「ええええ――!?」

『秘密の扉じゃん!』

 『隠し通路か、秘密部屋!?』

『え、おかしいって!』

『面白くなってきました――!』

 どんどん登録人数が増えていく! コメも滝のように流れていって読めないほどだ。


 「ほれ! これを身につけろ」

 じいちゃんが扉の中へ入って何かを持ってきた。そして俺にバスローブみたいな着物のようなものを渡してきた。


 俺が状況を把握できないまま、じいちゃんは俺に言った。

 「そこの本を読んだ。ご先祖様は代々、この洞窟ダンジョンを守ってきたようだ」











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