あれから一週間が経った・・・翔太の『モテ期』という名の非日常は、ますます激しくなっていた
登校すれば女子たちの熱い視線
廊下を歩けば後をついてくる女子たち
弁当を食べていれば「一口ちょうだい」と群がってくる
もう・・・疲れ果てていた
「翔太、ゲーセン行かない?」
放課後、友人の佐藤が声をかけてきた
「ゲーセン?」
「そう、久しぶりに昔みたいに遊ぼうぜ!!!最近のお前、女子に追いかけられてばっかりで話もできないしさ」
確かに、最近は友人たちとゆっくり話す時間もなかった
ゲームセンターなら、少しは落ち着けるかもしれない
「分かった、行こう」
ゲームセンターは学校から少し離れた商店街にあった
平日の夕方だったので、それほど混んでいない
翔太たちは格闘ゲームのコーナーに向かった
「よし、勝負だ!」
佐藤がコントローラーを握りしめる、翔太も久しぶりにコントローラーを握った
「うおー、翔太強えー!」
「昔取った杵柄だな」
ゲームに没頭していると、久しぶりに日常を取り戻した気がした、『異性にモテるギフト』なんて関係ない、普通の高校生の翔太がそこにいた
「あー、楽しかった」
そんな時だった・・・
「おい、お前」
低い声が聞こえた
振り返ると、金髪にピアスをした不良たちが、翔太たちの友人の一人、田村を囲んでいた
「さっき、肩ぶつかったよな?」
「え、あ、すみません」
田村は震えながら謝った、明らかに因縁をつけられている
「すみませんじゃねえよ・・・どうしてくれるんだ?」
不良の一人が田村の胸ぐらを掴んだ
翔太は立ち上がった
「やめろよ」
「あ?何だお前」
不良たちの視線が翔太に向けられた
「田村が謝ってるじゃないか!!!それで十分だろ!!!」
「生意気な野郎だな・・・」
不良の一人が翔太に向かって拳を振り上げた、翔太は身構える
その時だった!!!
「ちょっと待ちなよ!!!」
涼しげな女性の声が響いた
振り返ると、黒いライダースジャケットを着た女の子が立っていた
肩まである茶髪、鋭い目つき、でもどこか美しい顔立ち
明らかに不良だった
女の子は翔太に向けられた不良の拳を、軽々と握って止めた
「痛っ!!何しやがる!!!」
「この辺りで喧嘩は御法度よ、知らないの?」
女の子の言葉に、不良たちの顔が青ざめた
「あ、あんた・・・まさか・・・」
「そう、私よ、分かったなら消えな」
不良たちは慌てて逃げ出していった
まるで化け物から逃げるような勢いだった
「ありがとうございました」
翔太たちは女の子にお礼を言った
女の子は翔太を見つめて、ふっと笑った
「格好良かったよ・・・」
そう言って、女の子はゲームセンターから出て行った
「今の子、誰だろう?」
「知らないけど、すげー迫力だったな」
友人たちがざわめく中、翔太は女の子の最後の言葉が頭から離れなかった