大きなシャンデリアがキラキラと
駒塚と家政婦二人が次から次に料理を運んでくる。料理人の他に、あたしのうちには他に庭師もいて、庭は年から年中、四季の花が咲き誇り、奇麗に手入れがなされている。
クリスマスの時期には、庭に大きなツリーを出して盛大に飾り付けをするから、イルミネーションを遠くからわざわざ見にくるひとも多い。
うちは少しだけ、有名な家なんだ……。家族が全員変わってるねって言ってくるひともいるけど、それは多分、事実……、だから気にしない。あたしも変わってる自覚あるし。
三百坪はあるだろう、豪邸に今は父と母、それに五つ上の兄が住んでいる。白い要塞みたいな家に住んでいるあたしたち。
あたしには双子の姉がいるんだけど、今は一緒には暮らしてない。大学の近くのマンションで一人暮らしをしている。
あたしの双子の姉の
そう、菜奈ちゃんは雪哉くんと同じ大学で、同じ学部なんだ……。
菜奈ちゃんは才女で、お料理もできるし、あたしと違って、物事を決めるのも早い。そう、決断力があるんだ。
顔も少ししか似てない、菜奈ちゃんは母似で、すごく美人だ。
そして菜奈ちゃんは威張っていて、ドSだ。そんな菜奈ちゃんに、なぜか雪哉くんはすごく優しいの……。
「わぁ! すっごいごちそうだね! お父さんもお兄ちゃんも早く帰って来ないかなぁ!」
あたしははしゃぐ、この家ではなにかにつけてパーティが開催される。菜奈ちゃんはそれがイヤで、この家を出ていったらしい。
「ほんとね! ほんとね! お母さん、雪哉くんたちが来るの楽しみよ~!」
母がはしゃぐ、はしゃぎ方はあたしに似てると思う。
「ねぇ、そういえば、なんで雪哉くんはこの家で暮らすの?」
一番肝心なことを聞き忘れていた。
「あら、言ってなかったわね。雪哉くんのお家、もう築百年でしょう? 老朽化で耐震に引っかかって、もう建て替えしなきゃいけないんだって。その建て替えの間だけ、うちに住むのよ。ほら、うちからのほうがあそこの方々も、そんなに生活が変わらないでしょう。こういう時はお互い助け合わないとね」
母が忘れてたと言わんばかりに手を合わせながら、話し始めた。仕草が上品でお嬢様なのが母だ。
「そうなんだ。最近、
あたしは雪哉くんの祖母の鈴さんを思い出していた。最近かなり腰が曲がってる。歩くのも大変そう。
たしか今年で八十歳だ。すごく穏やかで可愛いおばぁちゃん。
ちなみに聖哉さんは雪哉くんの三つ上のお兄ちゃん、市役所で働いてる。
「……星奈ちゃん、お隣さんのこと、ほんとよく見てるわねぇ」
母が心底感心した声を出す。
そりゃ、そうだよ。雪哉くんも前はよく一緒に買い物に行ってたんだから。最近めっきり見ないけど、勉強が忙しいのかなぁ……。
そう、日曜日、あたしは時々お隣の家を眺めてる。一応言っておくけど、よ、予定がない時だけだよ。
友達からは『彼氏作りなよ。やばいって、アンタ、ストーカーだよ』って言われ続けて、もう十五年。
どうして? すっごい好きな人が隣に住んでたら、みんなそういう行動とらない? 言い切れる?
あたしは言い切れない。好きなひとはいつでも見たいし、見れたら、その日ずっとハッピーだもん!