聖哉さんは市役所の一階で働いている。ツーブロックのセンター分けで、軽くスパイラルパーマーをかけてる。髪も少し茶色い。
いかにも今どきの若者って感じの二十四歳なんだけど、根が真面目で、いいひとなんだよねぇ……。よく見ると雪哉くんにも似てるし。
でも、雪哉くんと性格は真逆だよ!
まるで、あたしと菜奈ちゃんみたい……!!
父と母が場を盛り上げようと頑張ったけど、微妙な感じで夕食が終わった。
そりぁ、そうだろうな。お家があんなことになって、すぐに元気になって、はしゃげるひとがいたら、頭がおかしいよ。
菜奈ちゃんは鈴さんにプレゼントを渡すためだけに来たらしく、食事が終わると、さっさと帰る準備をし始めた。
「もう帰るの? 菜奈ちゃん」
あたしは帰り支度をする姉に尋ねる。顔も似ているようであまり似ていない。あたしにはない目元のほくろといい、菜奈ちゃんはやっぱり美人だ。
スレンダーで、身長は同じなのに、どうしてこんなに菜奈ちゃんは大人っぽいのか。色気がムンムンなのか。
菜奈ちゃんがあたしと、母に視線を飛ばした。
「お母さんも星奈も、パーティばかりしてほんと暇人ね。うらやましいわ」
ど、毒! 菜奈ちゃんからは毒を食らった。
今日は塩と毒を食らう日だ。
「でも、ほ、ほら、鈴さんの好きなお寿司あったし、ちょうど良かったじゃない!」
あたしは必死に取り繕う。
あたしの隣にいた鈴さんが、ありがとうと言わんばかりに頭を下げて微笑んだ。
その様子を見た菜奈ちゃんの頬が緩む。
「……それもそうね。で、なんのパーティしてたの? 今回の名目はなに?」
菜奈ちゃんが顎に手を置いて、あたしを見てきた。
うっ! 雪哉くんが近くにいるんだけど。
まさか『雪哉くん同居決定パーティ』なんて言えない。い、言えるわけないよ。
「……ま、いいわ。別に興味もないし」
菜奈ちゃんがあたしから顔を逸らす。あたしは胸を撫で下ろした。
「もぅ、相変わらずね、菜奈ちゃんは。お母さん、これでも頑張って、毎回パーティの準備、すごく頑張ってるのよ」
母が拳を胸の前に持ってきて、ぷんぷんと
「はいはい。じゃあ、またね」
菜奈ちゃんが帰ろうとしたら、雪哉くんが菜奈ちゃんを呼び止めた。
「おれ明日、大学に行けそうにないから、安藤教授の授業、実験の結果、詳しく教えてくれないか?」
「わかったわ。大変ね。頑張って」
菜奈ちゃんが雪哉くんに顔を向けた。そしてさらに話を続けた。
「あたしに、なにか手伝えることがあったら遠慮なく言ってね」
「ああ、ありがとう。助かるよ」
雪哉くんが菜奈ちゃんを見て微笑んだ。そしたら菜奈ちゃんも微笑み返した。
……な、なにあれ? なんか二人、いい感じじゃない? えー!!!?