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第15話

「え? い、言ったらコ◯ス⁉︎ え、やだ、聞かなきゃよかった。でもおかしくない? 雪哉くん、普通に彼女いなかった?」

 彼は見かけるたびに、違う女のコを連れていた。しかもスレンダーから、ぽっちゃり。美人から、そうでもない子まで(失礼)


 ……え? たしかにいたよね。いろんな種類の子が(失礼)


「いたよ、色々試したよ」


「は? はぁ? 色々試したぁ? 彼女を取っ替え引っ替えしてたのは、自分の治療のため? サイテー!!!」

 雪哉くんってば、ありとあらゆることをいろんな女性としたのかしら?

 女はものじゃないのよ!! プンプン!!


「おまえの想像とは違う。おれはそんな、おまえが思うようなことはしていない」

 彼が否定した。


「じゃあ、なんのために、彼女作ったのよ」

 あたしは様々な女性と歩いていた雪哉くんを思い出して、苛立ち始めた。


「……おれさ、ひとを好きになったことがないんだ。誰かを好きになれば、おれの人生も変わるかなって思って、告白された子と遊んだりはしたよ。言っとくけど、おまえの想像する遊びとは違うからな」


「好きになったことがない……の?」


「ああ、ただの一度もな。誰か好きなひとができれば、この病気も治るかもって思ったりもした」


「……そうなんだ」


「そういうことだ。ほら、もう寝ようぜ。さすがにもう眠くなってきたわ」

 雪哉くんがあくびをした。


「こ、このままはイヤ。このまま帰るのはイヤ……」

 せっかく弱点を握ったのだ。


「は? おまえなに言ってんの?」


「だってあたしだけ、こんな重たい話聞かされて、余計寝れないじゃん。そ、そうだ、この秘密を誰にも言わない代わりに月一でデートしてよ?」

 このチャンス、逃してたまるか。


「……おまえ、最低だな」

 雪哉くんが頭をかきむしる。


 なんて言われてもかまわない、あたし、雪哉くんにそんな機能なくっても好きだもん。


 彼のすべてが、存在が好きだもん。


「……おまえに今日見られたのが、運のツキか……。毎月は無理、三ヶ月に一回。一時間だけならいいぞ」


「そんなの少ない、なにができるのよ! いやよ、お断りだよ。毎月、一回、半日でもいいよ。まぁ、できたら一日がいいけど。それにホントは最低でも月三回デートがいい」


「……おまえ、さっきの話聞いてたか? おれ、男の機能ないんだぞ。もう冷めただろ」

 雪哉くんが少し寂しそうに、あたしから視線を逸らした。


「ううん! ぜんぜん! むしろ、雪哉くんが童貞ってわかって、俄然やる気でたよ! チェリー、バンザ~イ」


「おまえ、バカ、やめろ! その言葉を並べるな。そして大きな声を出すな」


 こうして、あたしは『雪哉くんと月一デート』を無理やり約束させたのだった。


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