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第4話 最初の強敵?

 ゴブリン達が怒りに任せて突っ込んでくる。


 やれやれ、これだから知能の低いモンスターは。


 俺は半ば呆れながら、H&C P30Lウィックを構えて二発連続で発射。

 距離が近いこともあってか、二発とも両目にヒット。


「ギャッ」


 視界の全てを奪われるゴブリン。

 一気に恐怖心が膨れ上がったのか、ゴブリンが持っていた剣をその場で振り回す。

 その剣が、そいつの後ろからやってくるゴブリンの右腕を斬った。


 ははは。


 笑うしかないコントのような展開。

 俺はそいつらに近づき、RANBO-06 FEランボーで腹を掻っ捌いて、中途半端な痛みから解放してやる。


 あと1匹だったはずだが、4匹に増えている。

 騒動をいぶかしんで階段をのぼってきたのだろう。

 第一ラウンドのときも相当うるさかったが、部屋にでも籠っていたのだろうか。

 知らんけど。


 そいつら4匹とは距離がある。

 全弾使っちまうかと、残り20発を連続で射撃。

 顔をおさえて身をよじるゴブリンカルテット。

 これもコントのようだ。


 はははは。


 なんだか面白くて、俺はすばやくマガジンを交換。

 そして近づきながら再度、ウィックで撃ちまくる。


 妙な踊りみたいなのを繰り広げる4匹のゴブリン。

 しかし、さきのほうが面白かった。

 飽きた俺はランボーで1匹づつ仕留めていくと、そのまま階下へと降りた。


 その階下にもゴブリンが数匹うろついている。

 正直BB弾を撃っても楽しくはないが、レベルを上げるにはウィックを使用するしかない。

 俺は三度みたび、マガジンを交換。

 その場で撃とうと思ったが、踏みとどまる。


 ゴブリン相手だし、あれをやってみるか。


 俺は左手にランボー、右手にウィックを持ち、ゴブリン達に近づく。


「ギャアアアアアッ」


 威嚇のように叫ぶゴブリンが、駆け引きもなく俺に剣を振り下ろす。

 俺はランボーで、難なく剣を持つ右手の肘から先を斬り飛ばす。

 次にウィックの銃口をゴブリンの目玉にねじ込むと、トリガーを3度引く。

 目玉が弾ける音を聞きながら、ランボーで背中を突き刺した。

 1キル。


 流れは止めない。

 俺は左足を軸にして、しゃがみながら回転蹴り。

 足を蹴られた2匹目のゴブリンが転倒。

 そのゴブリンの上に飛び乗ると、口の中にランボーを突き刺し固定。

 矢継ぎ早に右目、左目と一発づつBB弾をプレゼント。

 最後にランボーを前方に斬り上げ、ゴブリンの顔を真っ二つにした。

 2キル。


 残り2匹のゴブリンが同時に襲い掛かってくる。

 目玉を狙ってばかりもアレだな、と思い、別の箇所に狙いを付ける。


 こいつら、全員オスだよな。


 〝そこ〟を隠している布切れの防御力は1か2か。

 異世界仕様でないレベル1のガスガンでも、〝そこ〟に食らえば普通に痛いだろう。


 ウィックがBB弾を高速で吐き出す。

 狙うはゴブリン達の局部。

 全弾とは言わないが、そのほとんどが局部×2に吸い込まれた。

 声も出せずに、局部をおさえてもだえ苦しむ2匹。


 分かる、分かるよ。俺も男だからね。


 分かったところで同情などしない。慈悲もない。

 俺は1匹づつ首を掻っ切ると、全部合わせて4キル。

 久々にガンフーをしてみたが、うまくいったのではないだろうか。

 人間相手のほうが映えるだろうが、さすがにそれは、ね。

 こっちの世界に救いがたい悪党がいれば別だが。


 少し待っていると、思った通りウィックが光る。

 はいきた。レベルアップのお時間だ。

 眼前に文字列が現れる。



RANBO-06 FEランボー のレベルが3→8に上がりました】

【殺傷力 292→ 377】rankC up!

【親和性  12→  45】rankF up! 

■材質/ブレード

 鉄

■スキル

 弱毒付与24% new!



H&C P30Lウィック のレベルが1→7になりました】

【殺傷力  5→  62】rankF↑up!      

【親和性  0→  42】rankF↑up!

■材質/弾丸バレット

 BB弾プラスチック

■スキル

 クリティカル7% new!



 ランボーとウィックの両方のレベルが5~6上がった。

 しかもどちらもスキルを取得。

 やはり〝親和性〟が上がると、スキルもゲットできるようだ。


 元からそれなりの殺傷力を持つランボーはともかく、ウィックのほうはまだまだ戦力としては厳しいだろう。

 最低でも、殺傷力を実弾程度に上げなければならない。

 レベル20は超えないと無理か。


 アパートの裏手からゴブリンがぞろぞろとやってくる。

 まだいるのか。

 俺はすでに15匹ほど、ゴブリンを殺した。

 その全てがアパート周辺だ。

 徒党を組むのが十八番のゴブリンだが、少数が密集しすぎだ。

 そこで俺は気づく。


 ――小隊か。


 間違いない。ゴブリンの小隊だ。

 つまり、ゴブリンを率いている奴が近くにいるということになる。

 だとしたら、どこだ? どこにいる?


 刹那、視界の左上で何かが動く。

 見上げる俺。

 アパートの屋上に何者かがいた。

 そいつは跳躍すると、駐車場の車の上に着地。

 派手な音が響き、車が歪な形にプレスされた。


 ゴブリンの三倍ほどの大きさ。

 それでいて、その肉厚で屈強な体には赤いはがねの鎧が装着されている。

 左手には鋼の盾。右手には鋼の剣。そして頭にも赤いトサカの付いた鋼の兜。

 鋼づくしのそいつは憤怒の表情で俺を睨みつけると、


「ゴギャアアアアアアアアッ!!」


 殺意が凝縮された咆哮を俺にぶつけてきた。


 ゴブリン・レッドナイト。

 やっぱり、いたか。

 間違いない。こいつがこの界隈のゴブリン達を率いている親玉。


 ゴブリンを複数倒したあとに、ゴブリンの上位種とバトルという流れ。

 これは異世界オベーリュアで最初に戦ったときと同じだ。

 だがあのときは、ゴブリンの親玉はホブゴブリンだった。


 そのホブゴブリンも、ゴブリン・レッドナイトにしてみれば単なる駒である。

 つまり――ゴブリン・レッドナイトは強敵。

 異世界で最初に出会っていたら、どう逆立ちしても勝てない相手だ。


 そう、異世界では。


「よう、赤いの。俺とやるのか? 別にいいけど無理だと思うぞ、お前じゃ。だって


 なまじ人間の言葉を理解できるからか、怒髪天を衝いたようなゴブリンの親玉。

 顔は真っ赤で、正にレッドナイトである。


「ゴウギャアアアッ!!」


 車から飛び降りて、猪突猛進してくるゴブリン・レッドナイト。

 それにプラスしてゴブリンが10匹ほどか。


 よぉし、やろうぜ!

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