ゴブリン達が怒りに任せて突っ込んでくる。
やれやれ、これだから知能の低いモンスターは。
俺は半ば呆れながら、
距離が近いこともあってか、二発とも両目にヒット。
「ギャッ」
視界の全てを奪われるゴブリン。
一気に恐怖心が膨れ上がったのか、ゴブリンが持っていた剣をその場で振り回す。
その剣が、そいつの後ろからやってくるゴブリンの右腕を斬った。
ははは。
笑うしかないコントのような展開。
俺はそいつらに近づき、
あと1匹だったはずだが、4匹に増えている。
騒動を
第一ラウンドのときも相当うるさかったが、部屋にでも籠っていたのだろうか。
知らんけど。
そいつら4匹とは距離がある。
全弾使っちまうかと、残り20発を連続で射撃。
顔をおさえて身をよじるゴブリンカルテット。
これもコントのようだ。
はははは。
なんだか面白くて、俺はすばやくマガジンを交換。
そして近づきながら再度、ウィックで撃ちまくる。
妙な踊りみたいなのを繰り広げる4匹のゴブリン。
しかし、さきのほうが面白かった。
飽きた俺はランボーで1匹づつ仕留めていくと、そのまま階下へと降りた。
その階下にもゴブリンが数匹うろついている。
正直BB弾を撃っても楽しくはないが、レベルを上げるにはウィックを使用するしかない。
俺は
その場で撃とうと思ったが、踏みとどまる。
ゴブリン相手だし、あれをやってみるか。
俺は左手にランボー、右手にウィックを持ち、ゴブリン達に近づく。
「ギャアアアアアッ」
威嚇のように叫ぶゴブリンが、駆け引きもなく俺に剣を振り下ろす。
俺はランボーで、難なく剣を持つ右手の肘から先を斬り飛ばす。
次にウィックの銃口をゴブリンの目玉にねじ込むと、トリガーを3度引く。
目玉が弾ける音を聞きながら、ランボーで背中を突き刺した。
1キル。
流れは止めない。
俺は左足を軸にして、しゃがみながら回転蹴り。
足を蹴られた2匹目のゴブリンが転倒。
そのゴブリンの上に飛び乗ると、口の中にランボーを突き刺し固定。
矢継ぎ早に右目、左目と一発づつBB弾をプレゼント。
最後にランボーを前方に斬り上げ、ゴブリンの顔を真っ二つにした。
2キル。
残り2匹のゴブリンが同時に襲い掛かってくる。
目玉を狙ってばかりもアレだな、と思い、別の箇所に狙いを付ける。
こいつら、全員オスだよな。
〝そこ〟を隠している布切れの防御力は1か2か。
異世界仕様でないレベル1のガスガンでも、〝そこ〟に食らえば普通に痛いだろう。
ウィックがBB弾を高速で吐き出す。
狙うはゴブリン達の局部。
全弾とは言わないが、そのほとんどが局部×2に吸い込まれた。
声も出せずに、局部をおさえてもだえ苦しむ2匹。
分かる、分かるよ。俺も男だからね。
分かったところで同情などしない。慈悲もない。
俺は1匹づつ首を掻っ切ると、全部合わせて4キル。
久々にガンフーをしてみたが、うまくいったのではないだろうか。
人間相手のほうが映えるだろうが、さすがにそれは、ね。
こっちの世界に救いがたい悪党がいれば別だが。
少し待っていると、思った通りウィックが光る。
はいきた。レベルアップのお時間だ。
眼前に文字列が現れる。
【
【殺傷力 292→ 377】rankC up!
【親和性 12→ 45】rankF up!
■材質/
鉄
■スキル
弱毒付与24% new!
【
【殺傷力 5→ 62】rankF↑up!
【親和性 0→ 42】rankF↑up!
■材質/
BB弾プラスチック
■スキル
クリティカル7% new!
ランボーとウィックの両方のレベルが5~6上がった。
しかもどちらもスキルを取得。
やはり〝親和性〟が上がると、スキルもゲットできるようだ。
元からそれなりの殺傷力を持つランボーはともかく、ウィックのほうはまだまだ戦力としては厳しいだろう。
最低でも、殺傷力を実弾程度に上げなければならない。
レベル20は超えないと無理か。
アパートの裏手からゴブリンがぞろぞろとやってくる。
まだいるのか。
俺はすでに15匹ほど、ゴブリンを殺した。
その全てがアパート周辺だ。
徒党を組むのが十八番のゴブリンだが、少数が密集しすぎだ。
そこで俺は気づく。
――小隊か。
間違いない。ゴブリンの小隊だ。
つまり、ゴブリンを率いている奴が近くにいるということになる。
だとしたら、どこだ? どこにいる?
刹那、視界の左上で何かが動く。
見上げる俺。
アパートの屋上に何者かがいた。
そいつは跳躍すると、駐車場の車の上に着地。
派手な音が響き、車が歪な形にプレスされた。
ゴブリンの三倍ほどの大きさ。
それでいて、その肉厚で屈強な体には赤い
左手には鋼の盾。右手には鋼の剣。そして頭にも赤いトサカの付いた鋼の兜。
鋼づくしのそいつは憤怒の表情で俺を睨みつけると、
「ゴギャアアアアアアアアッ!!」
殺意が凝縮された咆哮を俺にぶつけてきた。
ゴブリン・レッドナイト。
やっぱり、いたか。
間違いない。こいつがこの界隈のゴブリン達を率いている親玉。
ゴブリンを複数倒したあとに、ゴブリンの上位種とバトルという流れ。
これは異世界オベーリュアで最初に戦ったときと同じだ。
だがあのときは、ゴブリンの親玉はホブゴブリンだった。
そのホブゴブリンも、ゴブリン・レッドナイトにしてみれば単なる駒である。
つまり――ゴブリン・レッドナイトは強敵。
異世界で最初に出会っていたら、どう逆立ちしても勝てない相手だ。
そう、異世界では。
「よう、赤いの。俺とやるのか? 別にいいけど無理だと思うぞ、お前じゃ。だって
なまじ人間の言葉を理解できるからか、怒髪天を衝いたようなゴブリンの親玉。
顔は真っ赤で、正にレッドナイトである。
「ゴウギャアアアッ!!」
車から飛び降りて、猪突猛進してくるゴブリン・レッドナイト。
それにプラスしてゴブリンが10匹ほどか。
よぉし、やろうぜ!