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第6話 アンドロイド♀

H&CP30LウィックRANBO-06FEランボーが同時に光る。


 異世界にいたときも、この瞬間が楽しみだったなぁ。

 さて、どうなる?


RANBO-06FEランボー のレベルが8→22に上がりました】

【殺傷力 377→ 698】rankB up!

【親和性  45→ 112】rankE up!

■材質/ブレード

 鉄

■スキル

 弱毒付与24%・炎熱ヒート10s new!・氷結フリーズ10s new!



H&CP30Lウィック のレベルが11→23になりました】

【殺傷力 100→  202】rankD up!    

【親和性  62→  120】rankE up!

■材質/弾丸バレット

 BB弾スチール

■ステータス

 クリティカル22%up!・バレットカーブ new!




 まあまあ伸びたな。

 序盤も序盤でのゴブリン・レッドナイト撃破だからだろう。

 しかし、ここでのランボーのスキル、ヒートとフリーズは嬉しい。

 この2つのスキルは、弱毒付与みたいに確率系ではない。

〝発動せよ、〇〇〟で必ず効果が表れる時間制限系のスキル。


 ぶっちゃけ今の自分の身体能力なら、ヒート・フリーズに頼る必要はない。

 ないが、斬ったあとの光景が見ものなので俺は好きだった。


 あとはウィックのスキル、バレットカーブ。

 弧を描くように弾丸を撃てるスキルだが、正直、あまり実用性はない。

 だが、狙った相手にうまく当たったときに溢れる脳汁量はなかなかのものだ。


 なんにせよ、次のモンスターを探さないとな。

 の前に、ちょっとした予感を覚えた俺はアパートに戻る。


 モンスターがいて、俺の身体能力が異世界仕様で、武具もレベルアップする。

 ここまでお膳立てされていて、やはり〝あれ〟がないわけがない。

 つまり、〝あれ〟があるなら〝あいつ〟もいる。

 心細いというわけではないが、今後のことを考えれば一緒に行動したいところだ。

 ほかの武器も持っていく必要があるしな。


 さてと……。


 俺は、手前の101号室の確認に入る。

 開けた瞬間、リビングで首を吊ってる、小太りのおっさんとご対面。

 なんらかの出来事に絶望して命を絶ったのだろう。

 その〝なんらか〟が最大級激甚災害かどうかは分からんが。

 とにかく状態も酷くて、小説だったら文字で表現するのを躊躇うほどだ。

 俺は合掌したあと、そっと扉を閉じた。


 次の102号室は俺の部屋以上に汚部屋だった。

 どうすればこんなに汚せるのかと、驚きを禁じ得ない。

 あらゆるところに物が積まれ、入口からリビングまで幅30センチほどの隙間しかない。


 まさかこの先で、誰かくたばってるのだろうか。

 なんとなく気になって進むと、孤独死した老人――ではなくて、ゴブリンが2匹いた。


「ギッ!?」


「まだいたのかよ。おい、お前らの隊長はもう死んだぞ」


「ギョアアアアアアッ!!」


「うるせー」


 脳が命令する前に体が動く。

 ゴブリンの顎を下から蹴り上げる。

 ボキッと音がして首が折れた。

 その横でもう一匹が剣を振るう。

 俺はその軌道を読み、カウンターの左フックを顔面にぶち込んだ。

 ベキッと、こちらも首があらぬ方向へと曲がる。


 さすが異世界仕様の肉体。

 どちらも一発で、あの世行きだ。


「あ、武器で倒してないから経験値もらえねーや」


 とはいえ、ゴブリン2体分である。

 もらったところで雀の涙だろう。


 ところで部屋の主がどこにいったのか気になる。

 逃げたのだろうか。

 引き籠りだったとしたら、モンスター襲来以上のショック療法はないだろう。


 103号室は待望?の若い女性の部屋のようだ。

 ベッドにゴブリンの死体が転がっているのはさておき、白を基調とした家具が多く、壁にはKポップアイドルのポスターが張られている。

 もちろん、それだけで若い女性の部屋と判断したわけじゃない。

 写真立てに浜辺美波似の女性の写真が入っていたからだ。

 となりには不細工な男。彼氏だろうか。


 なんでお前如きが。


 理不尽な現実に憤りを覚えたところで、俺は違和感を覚える。


 ベッドに転がっているゴブリン。

 鈍器で殴打されたかのように顔がいびつに変形している。

 


 ギィ……。


 背後から音。

 風呂場か?

 俺は咄嗟に振り向く。


「死にっさらしゃあああボケがあああアアアァァァッッ!」


 ものすごい形相の〝あいつ〟がいた。

 俺は鈍器、ではなく、銀のアタッシュケースによる攻撃をひょいっと避ける。

 〝あいつ〟――アンドロイドが勢い余って、ベッドにダイブ。

 ゴブリンの死体とハグしたアンドロイドは、「ひぃぃぃっ」と悲鳴を上げて離れると、


「滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺」


 と、半ば狂乱状態でゴブリンの死体を殴り続けた。


「こらこら、もう止めとけって。脳味噌飛び散ってるじゃねーか」


「滅殺、滅殺、めっさ――……」


 アンドロイドがピタっとその動きを止めて、恐怖に顔を引き攣らせながら後ろを見向く。


「よう、アドメス。やっぱりお前もいたか」


 Type: SP-Androidアンドロイドfemaleフィーメイル

 その名をアドメス(アンドロイドのメスなので、これでいいやと俺が付けた)。


 人間で言えば16歳ほどの外観の彼女。

 その童顔の中の円らな瞳で俺を捉えながら、アドメスはベッドから降りた。

 人間そっくりなのは首から上と指だけで、その他の部位はいかにもな金属パーツで構成されている。裸というわけではなく、アンドロイドはこの状態が標準なのである。


 服を着せればそれこそ人間そのものだが動きにくいらしく、異世界でのアドメスは基本、標準のままだった。


 アドメスの腰まで伸びたはしばみ色のツインテールが揺れる。


「ああっ、マスターでしたか。オークと勘違いしちゃいました」


 何もかも似てねーだろ。

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