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NuitetVerre
文芸・その他純文学
2025年06月22日
公開日
519字
連載中
祖母の死後、ひとり訪れた冬の台所。
戸棚の奥に見つけた古いレシピ帳と、黄身色のリキュール。
その一頁には、「スノー・ボール」という名の知らないカクテルと、見知らぬ男と並ぶ若き日の祖母の写真が添えられていた。
語られなかった記憶、注がれなかったグラス。
三つの氷が静かに鳴るとき、凍ったままの想いがそっと溶けていく——。
氷の鳴るほうへ ― スノー・ボールの記憶 ―