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第2話

クラスティー・ショー赤いダイヤモンドジャングル編








第二話「クラスティー・ダイヤモンド冒険」




スプリングフィールドはいつも通り、退屈な午後だった。だが、クラスティー・ザ・クラウンにはそれどころではない悩みがあった。


「うーん……どうにも新しいネタが思いつかねぇ……」


クラスティー・ショーの視聴率は低迷中。スポンサーからも圧力がかかり、「今すぐ面白い新企画を出せ」と言われていたのだ。




そんな中、クラスティーは町をぶらぶら歩いていた。ショッピングモールの裏通り、誰も通らない公園のベンチの横で、ひとりの怪しげな老人が奇妙な話をしていた。白いヒゲをたくわえ、ひび割れた声でこうつぶやいていたのだ。




「赤く輝くダイヤモンド……“レッド・ホープ”……あれを手に入れれば、願いは何でも叶う……だが、あれは嵐の夜に砕け散り、世界に散らばってしまった……」




クラスティーの耳がピクンと動いた。


「なんだって!? 願いが何でも叶うだと!? それ、番組にできるじゃねえか!!」




その夜、クラスティーはサイドショー・メルの家を訪ねた。メルはチェロの練習中だったが、クラスティーの話を聞くなりチェロを落とした。


「クラスティー、それはあまりにも危険すぎる話だぞ! 古代の力には触れないほうがいい!」


「でもよ、考えてみろよメル! この“レッド・ホープ”を追う冒険を特番にすれば、視聴率爆上がり間違いなしだぜ!!」




結局、メルはしぶしぶながらも同行を了承した。こうしてふたりの“赤いダイヤモンド探し”が始まったのだった。








数日後、クラスティーとメルはジャングル地帯へと飛んだ。地図を片手に、熱帯の森を進んでいく。サルの群れ、毒蛇、ワニ、意味の分からない原住民のトーテム像など、次々に立ちはだかる障害。




「おいメル! この道、地図に載ってねぇぞ!」


「それはお前が上下逆さに地図を持っているからだ!!」




何とかキャンプを張ったその夜、彼らは赤い光を見た。木々の奥でぼんやりと輝くそれは、明らかに普通の光ではなかった。翌朝、ふたりはそこへ向かい、ついに“赤いダイヤモンドの欠片”を発見する。




「す、すごい……!」


メルが感嘆の声をあげた。欠片は手のひらほどの大きさで、血のように深く美しい赤い光を放っていた。




だが、その瞬間———




「……それを……返してくれ……」




空気が凍りついた。霧のようなものが立ちのぼり、そこに赤いローブをまとった“精霊”のような存在が現れたのだ。年齢も性別もわからぬその姿は、まるでダイヤモンドの意思そのものだった。




「我は“レッド・ホープ”の意思……かつて嵐の夜、分裂し、この地に落ちた……おまえたちよ、その欠片を集めるつもりか?」




クラスティーが勢いよく前に出る。


「そうだ! 俺の番組のためにな! 願いを叶えてくれるんだろ、あんた!?」




「ならば試練を乗り越えよ。全ての欠片を集めたとき、その願い、叶えてやろう……だが、欲望に飲まれれば、命を失うことになる……」




その言葉とともに、精霊は霧となって消えていった。




クラスティーは目を輝かせ、拳を強く握った。


「よーし、メル! 次の欠片を探しに行くぞ!!」




「……クラスティー、これはやばいことになる予感しかしないぞ……」




こうして、赤いダイヤモンドの全欠片を集める旅が本格的に始まった。笑いと危険と願望が交錯する、クラスティーたちの冒険は、まだまだ終わらない——。



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