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第6話

 今日の、皇太子殿下の生誕の祝賀をなんとかやり過ごす。

 そして、その先は……。


『一度、私の実家の領地へ下がりましょう。幸いなことに、私の実家は辺境だから、ここまで、通うような貴族の男はいないはずだし、噂が嘘だということは出来るはずよ』


『けれど何か、理由が必要なのでは?』


『病気で静養というのが一番ね』


『さしあたっては、今日の生誕の祝賀を、なんとかやり過ごすのが第一だよ、そして、皇太子殿下の婚約者から、平和に降りれば良いし、『聖なる乙女』に近付かなければ、『聖なる乙女』に悪事を働くこともないだろう。だから、学院へいくことはならない。近付いただけで、何が起こるか解らないからね』



 生き延びるためには、それが一番だろう。

 両親が、それを必死に考えてくれていたのも、ありがたい。


『私も、お前の不名誉な噂話が消えるように、なんとか動いてみるよ』

 兄も、そう言ってくれたのが心強い。


 兄、ルーデルスは美貌で知られ、国中の令嬢から、憧れの視線を一身に集めている、華やかな方だったからだ。


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